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部員は1人、覚悟した引退 1週間後に訪れた粋な計らい

2020年7月10日17時15分

 7月初めの日曜日。京都教大付の野球部でただ一人の部員、原田真弥君(3年)がバッターボックスに立ち、叫んだ。

 「バッティング練習、声出していこう!」

 グラウンドから「えい」という声が返ってくる。一緒に練習するのは、京都農芸と朱雀の部員たちだ。3校は連合チームを組み、今週末開幕する夏季高校野球ブロック大会に出場する。この日は京都農芸のグラウンドで、1週間ぶりの3校そろっての練習だ。

 コーチが投げた球をとらえ、カンと金属音を響かせると、ライナーの打球は外野手の頭を越えた。

 「1週間で仕上げてきたなあ。いま打順が8から6くらいに上がってるわ」

 京都農芸の浜辺航監督(30)がつぶやくと、原田君は「はい」とニヤリ。

 練習後の帰り道、「やっぱり、野球は楽しい」と原田君はほほえんだ。

 京都教大付は本来、今夏の大会には出場できないはずだった。

 昨夏の京都大会は、同じように部員の少ない京都農芸、朱雀との連合チームで出場。その後も一緒に練習を重ね、秋季大会にも出た。ところが今春、京都農芸が1年生部員6人を迎え、11人になった。

 日本高校野球連盟の規定では、人数不足による連合チームの結成は、部員数が8人以下の高校同士に限られる。

 一方の京都教大付は、原田君が入学したときの野球部員は7人だったが、その後も新入部員は来ず、昨夏の大会後は1人に。朱雀も部員は4人だけ。連合チームは解散になり、原田君は1人になっていた。

 1人での練習には慣れてはいた。

 昨秋以降も平日は鵜飼通夫監督(49)と2人でグラウンドを走り、ひたすら球を打ち込み、ノックを受け続けていたからだ。実戦に近い練習はできないが、原田君は「ずっとバッティングマシンが使えるから、楽しかった」とあっけらかんと話す。

 ただ、連合チームのみんなと週末にやる練習が楽しみだったことも事実だ。

 守備位置に選手が立っていると、甘い打球はヒットにならず、練習に緊張感が生まれる。競争心が生まれ、やりがいも強まった。空き時間にはインターネットの動画の話題で盛り上がった。みんなに真弥と呼ばれ、分け隔てなく叱られ、ほめられた。

 「また、野球をやりたい」

 新入生の入部や別の連合チームの結成を信じ、自主練習を続けた。だが5月下旬、追い打ちをかけるように、夏の甲子園と京都大会が中止になった。

 「これで引退かな」

 原田君はそう諦め、自主練もやめた。こんな終わり方かと悔しかったが、「仕方ない」と自分に言い聞かせ、受験勉強に切り替えることにした。

 その約1週間後、府独自の大会の開催が決まる。京都農芸の浜辺監督は考えた。「また連合チームを組めないか」と。単独で出場できるはずだった京都大会はなくなったが、独自大会なら交渉次第で連合を組める可能性はある。「あの2校を取り残したくない」

 2年前の夏、2人しか部員がいなかった京都農芸は大会に出場できず、選手が歯をくいしばって悔しがる姿を見ていたからだ。

 交渉し、府高野連の計らいで出場できることが決まり、3校はまた一緒に練習を始めた。原田君は「引退を覚悟していた」と話し、出場の喜びをかみしめる。

 初戦は開幕日の11日。それまでは、また1人だけで練習だ。「1試合でも多く勝って、みんなとの思い出をたくさん残したい」(白見はる菜)

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