スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

茨城)独自大会で「最後の夏」へ 閉校する佐竹高野球部

2020年7月7日09時00分

 大学受験が本格的に始まった2月初旬の朝。学校前の坂道には、いつも一緒になる先輩がいなかった。そうだ、3年生は自由登校になったんだ。「もう俺たちしかいないのか」。茨城県常陸太田市にある佐竹高野球部の黒羽(くろは)裕太君(18)は、改めて「閉校」の事実をかみしめた。

 生徒減を受け、同校は2019年度に同市の太田二高と統合し「太田西山高」が新設された。校舎は太田二高を引き継ぎ、2年生以下はそちらに通う。黒羽君は18年4月、佐竹最後の新入生として入学。今、校舎では3年生197人だけが過ごす。

 野球部の練習は、下級生が放課後に佐竹のグラウンドまで来て行っている。今年は、佐竹の3年生7人と太田西山の8人で「佐竹・太田西山」連合チームを組む。チーム名に佐竹がつくのはこれで最後だ。

     ◇

 校舎が寂しくなった頃、野球部の3年生の間で新型コロナの話が出た。「やべーな」。「でも茨城には来ないでしょ」。すぐに、練習メニューや流行(はや)りのゲームの話に移った。

 「コロナ休校」が始まった3月。テレビが、春の選抜大会が中止されて泣き崩れる球児を映し出した。1週間ほど後、LINE(ライン)のオンライン通話機能を使って仲間と話した。

 「夏には収まってるでしょ」という発言に、冗談交じりで「感染者増えたら夏も中止になるんじゃね?」と返した。それより長引く休校が気がかりだった。最後の夏なのに、練習不足でチームの努力が振り出しに戻る方が心配だった。

     ◇

 甲子園に憧れて野球を始めた。強豪私立に行きたかったが、家庭の事情で諦めて地元の佐竹に入った。まだ佐竹単独チームだった1年生の夏。ユニホームを着て歩くと、見知らぬ生徒や地元住民から「頑張れ!」と声をかけられた。「自分たちのために応援してくれるのはいいなあ」と思った。

 初めて連合チームで出場した昨夏の茨城大会は初戦でコールド負け。現3年生のミスが多かった。新チームになった8月、前任の監督が、全員で主将を担当する「日替わりキャプテン制」を導入。主将の立場になってみると守備の弱さが目につき、内外野の連係などを鍛えるため、率先して声をかけた。

     ◇

 一時的に休校が解除された4月上旬、その間だけ部活ができた。夏の茨城大会中止が現実味を帯びてきたせいか、みんなの集中力が切れているのを感じた。

 大会があるかわからない中、最後の夏に向けてどう過ごすのか。昼に3年生7人で話し合おうとしたが、最初は真面目に話を聞かない部員とケンカになった。

 「注意した時に嫌な顔をするのをやめてほしい」「ぎくしゃくしたまま終わりたくない」……。練習の時間を話し合いに回し、2日かけて本音をぶつけ合った。互いに謝った後、皆で結論を出した。「大会があってもなくても最後の夏ということは変わらない。練習の過程を大切にしよう」

 甲子園や地方大会の中止発表から6日後の5月26日。監督から「県独自の大会が正式に決まった」という知らせが届いた。練習の成果が出せる場ができたことにほっとした。数日後、OBたちから「やれることに感謝して、最後の夏頑張れよ」とメッセージが届いた。OBにとっても最後なんだと気づいた。

 部活再開後、少しぎこちなかった部員たちはキャッチボールをするうち、笑顔が戻った。同じ方向を向いて一歩進めた気がしてうれしくなった。佐竹での2年半をみんなで出し尽くして、歴史に幕を閉じたい。(佐野楓)

こんな特集も

関連記事

アクセスランキング

注目動画

一覧へ
バーチャル高校野球ではアンケートを実施しています

本日の甲子園交流試合

注目の情報