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高校野球の3年間、ゼロになるわけない 太田幸司さん

2020年5月22日23時06分

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 選抜大会と違い、どの学校にも甲子園のチャンスがあった夏の大会中止の決定は重い。特に高校3年生の気持ちを思うと、悔しいし、つらいだろうと思うから言葉も出ない。「頑張れ」とかいう言葉は、いらないよね。

 大抵の部の部室には「目指せ甲子園」といった紙が貼ってあるでしょう? でも、何のために高校野球をしているのか。甲子園は象徴で、高校野球はそれだけじゃない。3年間に味わういろんな思いそのものが、高校野球なんだよね。

 僕は幸運にも3回も甲子園に出させてもらった。3年夏は延長十八回再試合の末に準優勝。あの決勝や甲子園の経験は確かに宝物だ。

 あの後、鳴り物入りでプロの世界に入った。散々騒がれながら3年くらい結果を残せず、いろんなことを言われたよ。野球をやめようとも思った。その時、心の支えになったのは実はあの試合じゃない。「苦しいなか、3年間頑張ったよな」っていう経験。高校野球の3年間は熱い。重い。ゼロになんてなるわけないんだ。

 「神様は越えられない試練は与えない」という言葉もあるけれど、これほど強烈な試練はない。

 夏の大会があるのかどうか、という不安の中で努力を続けてきた人も、いるんじゃないか。そういう一つ一つの経験を、プラスに持っていってほしいし、高校球児はその力を持っているよ。高校野球で培った強い精神力を持っている皆さんにだから、あえて言う。

 「ここからが、勝負だぞ!」(聞き手・高岡佐也子)

     ◇

 おおた・こうじ 三沢(青森)のエースとして1969年夏の甲子園決勝で松山商(愛媛)との延長十八回引き分け試合と再試合を投げきり、準優勝した。70年、プロ野球近鉄に入団。通算58勝を挙げた。

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