スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

千葉)甲子園と千葉大会も中止 球児や関係者ら落胆の声

2020年5月21日10時30分

 「甲子園のない夏」を迎えることになった。第102回全国高校野球選手権大会と、7月1日開幕予定の千葉大会など全49地方大会の中止が5月20日に決定した。「全国の頂点」「千葉大会で1勝」……。それぞれの目標を掲げ、集大成となるはずだった3年生の球児や関係者に衝撃と無念の思いが広がった。

 「残念ですが、今年の甲子園と地方大会は両方とも中止が決まりました」

 20日午後5時半ごろ、千葉学芸(東金市)の高倉伸介監督(45)から中止を告げられた3年生の部員23人は、監督の顔を見つめたまま、無言で話を聞いていた。

 2000年に女子校から男女共学になり、昨春の県大会は初の8強、夏の千葉大会は16強と少しずつ結果を残してきた。11日からは学年ごとに分散登校を実施。野球部は登校日のグラウンドでの自主練習を認めており、20日はテストのために3年生全員が登校していた中での知らせだった。

 砂川尚紀(たかのり)主将は「正直、何で自分らの代なんだろうって思います」。夏の甲子園中止を示唆する報道があっても「絶対に甲子園や千葉大会はあると信じて、やれることをやろう」。そう仲間に呼びかけ、家でも自主練習を続けてきた。

 「甲子園を目標に練習を続けて来たが、これからどうしていけばいいのか……。心の整理がつかず、何も言葉が出ない」。それでも「下を向き続けてもダメなので、前を向きたい」と自らを奮い立たせるように話した。昨夏の千葉大会に二塁手で出場した中上晴斗君は「一気に崖から落ちたような感覚になった。何も挑戦できずに終わってしまうのは悔しい」。

   ◇   ◇

 午後4時過ぎ。志学館(木更津市)のグラウンドの隅にあるベンチで、3年生の中心メンバー3人は久保山政志監督(40)から中止を知らされた。涙をこらえ言葉に詰まる監督と対照的に、驚きながらも静かに耳を傾けた。

 「夏は集大成。最後にできず寂しい」。土方壮副主将は言った。

 第100回の記念大会のため東千葉大会が開催された1年生の夏は、スタンドから4強まで勝ち進む先輩たちの姿を目に焼き付けた。「あと一歩で甲子園。自分たちの代はきっと……」。その思いで練習を重ねてきた。

 1年生の秋から背番号1をつける相馬綾太君は「受け入れられないけど、受け入れるしかない」と複雑な胸の内を明かす。「お世話になった人への恩返しとして投げる姿を見せたかった」

 村石太陽主将は「仲間がいなくなるわけじゃない。やってきたことは無駄じゃないはず」。そう自分に言い聞かせるように語る。前日19日は3年生の登校日で、部員26人が約1カ月半ぶりに顔を合わせ、少しだけ練習をした。軽いキャッチボールも、楽しくてしかたなかった。

 今は手に残るボールの感触が胸を締め付ける。本音は「もっとみんなで野球がしたかった」。(小木雄太、今泉奏)

     ◇

 2019年、春夏連続で甲子園に出場した習志野。16~18年に3大会連続で夏の甲子園出場の木更津総合。今夏も千葉大会の優勝候補の筆頭格だった2校はこの日、沈黙し、監督や選手の表情はうかがい知れなかった。両校OBの元主将たちは後輩の心情を思いやった。

 「なんて言葉をかければいいのか」。昨年の習志野の「ダブル主将」の一人、根本翔吾さん(19)=中央大=は絶句した。

 昨夏の千葉大会。準決勝の木更津総合戦では、1点を追う九回裏2死走者なしの崖っぷちまで追い込まれた。その土壇場で救ってくれたのが当時の2年生、今の3年生だ。四球と連打で同点に追いつき、延長の末に勝利した。

 先発メンバーの半分以上を占めた後輩たちが甲子園に連れて行ってくれた、との思いが残る。その時から主力だったメンバーは今も健在だ。甲子園で1勝にとどまった昨夏を上回る成績を期待していた。

 もう一人の主将・竹縄俊希さん(19)=東北福祉大=も「甲子園に挑戦すらできないという気持ちは正直計り知れない」と困惑した様子だ。甲子園を目指す中で経験した苦しさ、うれしさがあって自分は大きく成長できたと実感する。特に3年の夏の成長は特別だと思う。

 スタンドから応援した昨年の秋季大会。大舞台で修羅場を何度も経験した後輩たちにはすでに「強豪の雰囲気」が漂っていた。「今夏、スタンドから思いっきり応援したかった」

   ◇   ◇

 木更津総合は「習志野を倒して甲子園に」が夏の目標だった。その柱が、3年のエース篠木健太郎君だ。140キロ超えのキレのある直球と鋭い変化球を持ち、プロも注目する。

 「弱々しさが無くなり、練習からチームを引っ張っていた」。18年夏の甲子園で主将、エースとしてチームを16強に導いた野尻幸輝さん(19)=法政大=は、篠木君が1年生のころから、成長を見てきた。

 野尻さんの甲子園での最後の試合で、八回からマウンドを託されたのは当時1年の篠木君だった。篠木君はエースを引き継ぎ、昨夏の千葉大会に臨んだが、準決勝の習志野戦でサヨナラ負け。「最後の夏にかける思いは強かったはず」。昨年末、「頼んだぞ」と声を掛けると、「甲子園に行きます」と力強く答えていたという。「甲子園でも活躍しそうな雰囲気があったのに」

 同校野球部後援会長の山本恵司さん(63)は「残念です。でも、今の状況下では仕方ない」としつつ、「このままでは3年生たちに区切りがつかない」と心配した。今年の秋季大会や関東大会、来春の甲子園での選抜大会で3年生が出場できる特例を希望した。(小木雄太、寺沢知海、吉江宣幸)

     ◇

 中止の報を受け、3年生の部員や監督は落胆した。中には悔しさをにじませたり、前を向こうとしたり。様々な反応も見られた。

 「ショックだが(高校総体など中止になった)他の部活の選手たちのことを考えると、しょうがない」。伝統校・成田の古谷将也主将は、そう語った。昨夏の千葉大会準々決勝で習志野に2―3と惜敗。雪辱を期していた。「練習が再開できたら、みんなが自分のことだけを考えて練習できるよう、チームをまとめたい」

 自身は強肩・強打の捕手で、プロ野球のスカウトも注目する。「中学生の頃からプロに行きたいと思い、甲子園出場はモチベーションの一つだった。甲子園(への道)はなくなったが、プロを目指してやっていく」と力を込めた。

 「このままでは終われない」。そう話すのは、千葉商大付の捕手の西口航太主将。昨夏は千葉大会16強。「打倒、習志野」を合言葉に厳しい練習を自らに課してきた。

 小学生の頃から兄大樹さんの背中を追い、野球を続けてきた。兄とバッテリーを組んだ昨夏、「次はお前の番だ」と託された。故障続きで、野球は高校までと決めていた。大学受験をする予定で、勉強に切り替えなければと分かっているが「残念です」。

 「目標を失い、複雑な気持ち」。県内屈指の進学校である市川の生方秀典主将は肩を落とした。昨夏の千葉大会は23年ぶりの8強。休校期間中も毎日約5時間、素振りや筋トレなどの練習を一人で続けた。「県独自の大会はあって欲しい。今は勉強より野球に打ち込みたい」

 「一人では野球は出来ないということを改めて感じた」。そう訴えるのは、県船橋の森一馬主将。

 昨年、一昨年とも夏の大会は4回戦まで進出。いずれも強豪習志野を相手に善戦した。部活が自粛になっても、部員は各自で練習を積み重ねてきた。支えてくれたのは後輩や家族だ。父親に毎日練習に付き添ってもらった部員も。大会中止でも試合ができるなら8月末まで練習を続ける方針を確認したばかりだった。「野球も勉強も高いレベルでできるからこの学校を選んだ。お世話になった人たちのためにも何とか、全力で試合に臨んでいる姿を見せたい」

 中止の報に、指導者らにも衝撃や困惑が広がった。

 「地方大会も中止ですか……」。全国制覇も経験した古豪・銚子商の沢田洋一監督は言葉が続かなかった。前日に3年生の部員24人に電話をし「甲子園という目標はなくなっても、千葉大会で力を出せるから」と伝えたばかりだった。「今は受け入れられなくても、いずれ前を向いて進んでいってくれると思います」

 昨秋の県大会で準優勝した拓大紅陵の和田孝志監督は困惑を隠さない。140キロ超の直球が武器のエース竹内将悟君は昨秋も躍動。「試合をやるからには甲子園を目指そう」との和田監督の指揮のもと団結してきた。「一人ひとり面談し、ケアにあたりたい」と話した。

こんな特集も

関連記事

アクセスランキング

注目動画

一覧へ
バーチャル高校野球ではアンケートを実施しています

本日の甲子園交流試合

注目の情報