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奈良)「もう一度立ちたい」マウンド 智弁学園・小畠君

2020年3月17日09時30分

朝日新聞DIGITAL

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、春の選抜大会の中止が決まった。テレビで中止の速報が流れた11日夕、奈良県内の関係者にも衝撃が走った。奈良からは天理と智弁学園が出場予定だった。昨秋の近畿大会で天理は優勝、智弁は4強入り。ひたむきに練習してきた選手全員に、強豪校を破った実力を甲子園で見せてほしかった。

 智弁学園の小畠一心君(1年)は、春に復調が期待された投手だ。昨夏の甲子園は、初戦の八戸学院光星(青森)戦で先発。三回途中まで投げて4失点、試合は8―10で敗れた。

 選抜大会の出場が決まった直後の2月、小畠君に聞くと「マウンドに立つのがずっと怖かった」と打ち明けた。甲子園で浴びた2本の本塁打が忘れられない。「スパーン、スパーンって飛んでいって。何が起きたのかすぐわからなくて」

 敗戦後、慕っていた先輩で投手の山本奨人君(3年)から「お前らはまだ始まったばかり。これから投手陣を引っ張ってくれよ」と声をかけられた。「けろっとして笑顔交じりで話す奨さんが、その後泣いていたのを見て……」。言葉が続かなかった。

 夏が終わって、マウンドに立つと、甲子園で打たれたときを思い出すようになった。後ろ向きな気持ちを消したくて、投球フォームやボールの握り方まで変えてみた。「でも、気持ちは変わらなくて、うまくいかなくて。初めて『もう投げたくない』って思いました」

 調子が上がらない中、同級生の西村王雅君(1年)がエースナンバーをつけた。秋の近畿大会準々決勝の智弁和歌山戦、先発の西村君が相手打線に捕まり、七回途中から小畠君が救援した。

 「やっぱり怖くて、はじめてマウンドで足が震えました。同級生がここまでやってくれたのに、崩すわけにいかない。いけるって自分に言い聞かせました」

 なんとか抑えて、チームは勝利。春への手応えをつかんだ。

 選抜大会に向けて、小畠君は「今は甲子園のマウンドにもう一度立ちたい」と話していた。卒業式の2月11日、「奨さんの悔しさの分もがんばるから見ていてください」と山本君にメッセージを送った。

 選抜大会は中止になった。でも、夏のマウンドが、成長した小畠君を呼んでいる。(平田瑛美)

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