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岩手)大船渡に163キロ旋風 佐々木、仲間と成長の夏

2019年12月26日03時00分

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 彼は泣いていた。長身を少し丸め、県営野球場の通路で立ちすくんでいた。あの日から1年半。高校最速右腕に成長し、プロの世界へ羽ばたこうとしている。

 大船渡の佐々木朗希投手(18)を初めて取材したのは、昨年夏の高校野球岩手大会だった。3回戦で敗れ、涙をこぼしていた。大会初戦に154キロをマーク。この日は登板しなかったが、当時から多くの期待を背負っていた。今年4月には高校生史上最速の163キロを記録し、大リーグの大谷翔平選手(25)が花巻東時代に出した160キロを更新した。メディアが県外からも岩手に押し寄せた。

 最後の夏。準決勝までの5試合中4試合でマウンドに上がり、最速160キロの直球で球場を沸かせた。しかし決勝では起用されなかった。「故障を防ぐため私が判断した」と国保陽平監督(32)。前日の準決勝で129球を投げていた。

 投げさせるべきか、登板を回避すべきか――。賛否両論が渦巻いた。エースの起用法や過密な大会日程、球数制限を巡る論争にも発展し、日本高野連は来春からの公式戦で、投手の投球数を週500球に制限することを決めた。

 佐々木投手は試合後、「投げたい気持ちはあった」と語った。大船渡には中学の選抜チーム時代の仲間も多く、小学校で共に戦ったチームメートもいる。決勝後、取材した選手たちは「本気で甲子園をめざしていた」と口をそろえた。戸惑いと諦めの混ざる球場の空気が忘れられない。

     ◇

 決勝から半年になる。千葉宗幸主将(18)は試合の後、「もう野球はやらない」と話した。5番打者の木下大洋選手(18)は進学先で野球を続けるという。「野球」との折り合いをどうつけるか。悔しさを乗り越えて、選手たちはそれぞれ選択した道へ進もうとしている。このチームは佐々木投手ひとりで戦ってきたわけではない。今夏の熱狂とつらい決勝を経験した彼らなら、どんな未来でも歩んでいけるはずだ。

 そして佐々木投手も大船渡での日々をこう振り返っている。「3年間、チームメートと練習してきた。その過程が高校野球で一番大切なのかな」

 来年から千葉ロッテマリーンズでの新生活がスタートする。22日の合同インタビューで目標を聞かれ、「1軍で投げて初勝利をあげられるように。日本を背負って立つような選手になりたい」。そう胸を張る佐々木投手に、1年半前に見たうつむきがちな少年の面影はなかった。プロ野球界の荒波も、今の彼なら乗り越えていけるだろう。(御船紗子)

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