スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

鳥取)次の時代へ 高校野球

2019年12月28日03時00分

シェア

 「選抜出場チームは夏に勝てない」。高校野球の取材をしていると、こんなジンクスをよく耳にする。今年、公立進学校ながらそのジンクスを吹き飛ばし、県内を沸かせたチームと二つの甲子園を共にした。

 1月、米子東が23年ぶりに選抜大会の出場校に選ばれた。出場選手はベンチ入り人数に満たない15人、スポーツ推薦などもない公立校ということもあり全国的にも注目を集めた。惜しくも初戦で敗退したが、秋の神宮大会を制した札幌大谷(北海道)と四回以降を無失点で渡り合う粘り強さを見せつけた。

 7月、全国高校野球選手権鳥取大会が開幕。2強と称された米子東と鳥取城北がシードから順当に勝ち進み秋、春と3季連続で同じ決勝の顔合わせとなった。ここまで互いに1勝1敗。試合は1点を奪い合う一進一退の展開になった。

 同点で迎えた終盤の八回、鳥取城北が1点をリードした。その裏、米子東も一、二塁と反撃の好機を作るが、2死で迎えた打席には今大会1安打と不振の長尾駿弥選手(2年)。勝利の流れを引き寄せているのは鳥取城北のようにも思えた。

 だが、長尾選手の放った一打が2点適時打となり勝ち越し。結果として、その一打が勝利を決めた。28年ぶりの夏の甲子園出場、そして同校として59年ぶりとなる春夏連続甲子園出場を遂げた。

 甲子園大会で米子東は、優勝候補の一角でもあった智弁和歌山と対戦。格上だったが、先発した森下祐樹投手(3年)は集中力の高さと制球力で、強打を誇る相手打線を五回まで1失点に抑えた。試合には1―8で敗れたが、前評判を覆す好ゲームを演じて見せた。

 チームの支柱でもあった森下投手は自身の帽子に「人のため」という言葉を書いていた。甲子園出場の立役者となった長尾選手も決勝後の取材で「支えてくれるすべての人に恩返しがしたかった」と何度も口にした。米子東の選手たちは常に野球をする意味を自分たちだけのものにせず、周囲にも与える努力をし続けていたように思う。

 鳥取大会中には、試合がない日でも自分たちが頑張る姿を観客に見てもらいたいとレギュラー陣を含めた部員全員が、当番校として球場整備などに当たっていた。さらには次の世代へ高校野球をつないでいこうと月に一度必ず、地域の幼稚園や保育園を訪れ、野球教室の取り組みを続けてきた。

 平成から令和へ、二つの時代をまたいだ今年の甲子園。選手人口の大幅な減少など高校野球を取り巻く環境も変わり始めている。選手自身がその変化を受け止め、動き出すことが必要なのかもしれない。甲子園での勝利は果たせなかった。けれど、全国の舞台で米子東というチームが2度も躍動したことは、これからの高校野球を考える上で大きな意義になったはずだ。(矢田文)

話題の記事

スポーツブルアプリアイコン