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ドラフト指名なく涙の理由は 近江・林「3年後は絶対」

2019年12月24日15時30分

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 2019年がまもなく終わる。高校野球担当として、年を越す前にどうしても話を聞きたい人がいた。滋賀・近江の林優樹(18)だ。高校日本代表にも選ばれた左腕は、10月のプロ野球ドラフト会議で指名されず、涙した。そもそも、一度は挑まないと決めたのに、なぜプロの世界に飛び込もうとしたのか。理由を聞きたくて、彦根城の近くにある学校を訪ねた。

 終業式があった12月20日。林とは、9月に幕を閉じたU18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)以来の再会だった。髪はすっかりのびていた。

 林といえば、思い浮かぶのが昨夏の第100回全国選手権記念大会準々決勝。秋田・金足農に逆転サヨナラ2ランスクイズを決められ、マウンドで表情を失っていたシーンが印象に残る。

 身長174センチ、体重64キロ。細身で小柄な左腕は、3大会で甲子園のマウンドを踏んだ。直球は決して速くないが、抜群の制球力と独特の投球テンポ、そして強打者が面白いように空振りするチェンジアップで、全国の強豪と渡り合ってきた。高校日本代表でも外国人の強打者に通用する左腕として、重宝された。

 しかし、U18W杯のころは社会人に進むことを決めていたはず。なぜ突如、プロを志望したのか。

 「自分では、まだプロに行けるとは思っていませんでした。ただ、家族から『一度きりの人生、挑戦してみたら』と背中を押され、2週間話し合いました。悩んだ結果、挑戦しようと。小さい頃からプロ野球選手は家族の夢でもあったので」

 10月17日のドラフト会議で、林は指名されなかった。予想はしていた。ただ、取材対応では涙がこぼれた。「ドラフトに関しての涙ではなく、これまでの過程を聞かれたときに。すぐ泣いちゃうんで、ちょっとだけ出ました」。高校3年間を思い返して感傷的になった。自宅に帰り、両親から「悪かったな」と声をかけられた。「3年後、絶対に行くから」。林はそう伝え、決意を新たに社会人野球でプレーすることにした。

 林を語るうえで、欠かせない相方がいる。主将の有馬諒(18)。高校入学後から林とバッテリーを組む。昨夏の金足農戦のラストシーンも、林とともに経験した。今夏の滋賀大会で林をリードした26イニングは無失点。甲子園では全国屈指のバッテリーと注目された。

 ドラフト当日、学校で林に会えなかった有馬は電話をかけた。「みんなで(結果を)待っていようか」。林の返事は「指名されんから、帰っていいよ」。

 そんな林の振る舞い方に、大学進学を希望していた有馬は「自分は志望届を出せなかった。もし中途半端な気持ちでドラフトにかかったとき、本当にその世界で生き抜く覚悟がなかった。指名されるか、されないかわからない状況で志望届を出せた林を素直に尊敬します」。林の選択は、有馬にプロを強く意識させる契機となった。

 林は西濃運輸へ、有馬は今秋の明治神宮大会で準優勝した関大へ進む。早ければ、林は3年後、有馬は4年後に、プロの扉をたたくことになる。有馬は言う。「投手と打者で対戦するのは、考えられないですね。だって高校時代に2度くらいしか林と対戦したことがない。あとは全部バッテリーでしたから」。また18・44メートル先で向き合える日を思い描きながら、2人はそれぞれの道に進む。(小俣勇貴)

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