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離島の12人、崩壊寸前からの躍進 甲子園常連に大接戦

2019年10月9日06時42分

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 選手がたった12人の離島のチームが、19日に佐賀市で始まる高校野球九州大会への初出場を決めた。沖縄県石垣市の八重山農林。県の秋季大会で逆転勝ちを重ねる快進撃をみせて準優勝し、決勝も強豪相手に大接戦を繰り広げた。ただ、大会直前までチームは崩壊寸前だった。

 八重山農林は9月14日から臨んだ秋季大会で1、2回戦をコールド勝ちし、3回戦も4―0で完封勝ち。準々決勝、準決勝ともに逆転勝ちして、上位2校が出られる九州大会進出を決めた。

 5日の決勝は、今夏甲子園に出場した沖縄尚学を相手に、延長十回7―8でサヨナラ負けした。だが、九回2死から5点差を追いつくという驚異的な粘りをみせた。

 八重山農林の選手は12人。甲子園の常連校相手に大接戦を演じる展開に、スタンドは盛り上がった。

 秋季大会の1カ月前は、全く違うチームのようだった。

 8月中旬、主将の大浜圭人(けいと)君(2年)が自宅にいると、電話が鳴った。捕手の岡本好人(よしひと)君(2年)が言った。「辞めたい」

 その直前にあった新人戦で勝ち上がり、15校が出場する中央大会では敗れたものの、チーム全体が「てんぐになり、練習態度にもそれが出ていた」(選手の一人)。それが不満だった。

 岡本君は大阪市の中学出身。親族が石垣島で牛を飼育していて、農業高校に進みたいと考えていた2017年夏、八重山農林が沖縄大会でベスト4に入ったのを知り「ここで野球がしたい」と、親元を離れて来た。寮生活を送り、最初は方言もわからずに苦労したが、野球に打ち込んだ。

 新チームになって、勝ちを重ねるほどチームがバラバラになっていった。練習中はだらけた態度が目立ち、身が入っていない選手もいた。「まじめで、ひたむき」と新里和久監督(34)が評する岡本君はストレスがたまり「自分は何のために大阪から来たのか」と思い詰め、大浜君に電話した。

 この日、練習は休みだったが、大浜君はすぐに選手全員を部室に集めた。事情を説明し、今後どういうチームにしたいか、全員で意見を言い合った。「グラウンドでは歩かない」「練習中に各自が無駄な時間を作らない」……。新たなルールを10項目ほど作り、絶対に守ろうと誓い合った。

 大浜君は岡本君に会い、電話でも何度も戻って来るよう説得した。岡本君も迷いながらも8月の終わりに練習に戻った。

 練習態度はがらりと変わっていた。大浜君は「岡本が戻ってきて、みんながやる気に満ちあふれていた。違うチームになったようだった」と振り返る。

 決勝で先発した左腕垣本真志(なおし)君(2年)は「岡本のリードに任せて投げた。岡本が戻ってチームの野球に対する意識が一つになった」と話す。九州大会は、来春の選抜大会の出場校を決める重要な判断材料になる。大浜君も「甲子園を目指そうと、みんなの気持ちが一致し、今が一番楽しく野球ができている。それが結果にもつながっている。岡本には感謝しかない」。

 岡本君は「人数は少なくても団結できるチーム。九州大会は沖縄の代表として自信を持ち、恥ずかしくない試合をしたい」と話している。(伊東聖)

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