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熱血の父育てた絶対的エース 「自慢の息子」涙止まらず

2019年8月20日20時31分

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 中京学院大中京(岐阜)は20日、準決勝で星稜(石川)に0―9で敗れた。決勝進出はならなかったが、甲子園で春夏通じて初の4強入りを果たした。快進撃を支えたエース不後祐将(ふごゆうま)君(3年)は、熱血指導者だった父との夢を実現した。

 七回裏1死二、三塁。二回途中から左翼を守っていた不後君が、再びマウンドに上がった。点差は6点。「がんばれ!」。アルプス席からひときわ大きな声援が飛んだ。不後君の父・栄一さん(51)だった。

 栄一さんに野球経験はない。でも野球ファンで、息子が甲子園に出るのが夢だった。娘2人の後に生まれた長男には小さい頃から野球を教えた。「ボールの扱いが人一倍うまく、ほかの子とは違う才能を感じた」。さらに左利き。「サウスポーに育てたい」と練習方法を独学した。

 不後君は小1から軟式野球のチームに入ったが、6年間ほぼ毎日、父が組んだ自主練習を続けた。キャッチボール、素振り、ダッシュ。脚上げは200回。公園で友達と遊んでいると父の車が止まり、「練習するぞ」。ときに夜10時まで及んだ過酷なトレーニングを泣きながらこなした。

 「厳しい父から逃れたい」という気持ちも少しあり、高校は神戸市の地元を離れて、全寮制の中京学院大中京を選んだ。

 チームでは1年からマウンドに立ち、2年で背番号1をもらった。「エースを任されたからにはやるしかない」。甲子園は父子の夢になっていた。気負いする息子を見かねた父は、帰省時に「悔いなく楽しんでやれ」と声をかけた。

 順風満帆ではなかった。昨夏の岐阜大会では準々決勝で逆転を許し、先輩を甲子園に連れて行けず悔しい思いをした。昨秋の東海大会準決勝では5点差を追いつかれ、マウンドを後輩に譲った。

 栄一さんは岐阜大会も全試合応援にかけつけ、息子の苦しむ姿も、好投する姿も見届けた。「三度目の正直」としてつかんだ夢の舞台。甲子園では全4試合に先発で登板し、流れをつくった。橋本哲也監督は不後君を「一番苦労した選手」としつつ、「負けん気が強かったが、一つ間を置いて抜くことを覚えたのが成長点」と評していた。この日も「最後は不後で」と再登板を決めたという。

 不後君は「持っている力を出し切ったので悔いはない。いい経験ができたのはお父さんのおかげ。甲子園はいいところなので後輩にも来てほしい」と話した。

 栄一さんは涙が止まらず、タオルでぬぐいながら、息子の姿が見えなくなるまで立って拍手を送った。「自慢の息子。これ以上感慨深いことはない。これからも一番のファンであり続けたい」(松山紫乃、村井隼人)

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