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宇部鴻城の強打支えるデータ班 宿舎に泊まり込んで分析

2019年8月12日14時17分

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 宇部鴻城(山口)は12日、持ち前の強打を発揮し、宇和島東(愛媛)との初戦を制した。山口大会の6試合で39得点をたたき出した強力打線の裏には「データ班」の存在があった。

 3点リードの四回。1死一塁で1番の岡田佑斗君(3年)が打席に入った。3球目の低めの直球を振り抜くと、右翼フェンスを大きく超えた。2点本塁打で宇和島東を引き離した。

 ボールボーイとして三塁ベンチ横で控えていた浅田優太君(同)は「あのカウントなら絶対に直球が来ると思っていた。自分のデータを信じて打ってくれた」と喜んだ。

 浅田君はデータ班を率いてチームを支える。甲子園入り後の7日夕、兵庫県西宮市の宿舎で、いつものように愛媛大会での宇和島東のデータを整理していた。

 投手なら1球ごとに球種を記録。このカウントなら次に何を投げる確率が高いのか。打者では1球ごとに体のひらき方の癖などを細かくメモする。1試合分の映像を見るのに6時間ほどかかるが「チームが勝つため。これが自分の役割」と言う。チームメートが寝た後も日付が変わるまでベッド脇のライトをつけて、一人で作業を続けてきた。

 浅田君が野球を始めたのは小学4年のとき。中学では投手を務め、甲子園出場をめざして宇部鴻城へ。10キロ以上あるタイヤをかついでのダッシュなど、県内トップクラスとも言われる厳しい練習に耐えてきた。

 だが、部員のレベルは高く、なかなか試合には出られなかった。2年の秋、尾崎公彦(まさひこ)監督(49)から「データ班もやってくれんか」と声をかけられた。投手出身で配球に詳しく、まじめな性格を見込まれた。

 もともと細かい作業は得意ではなかったが「野球のことなら楽しかった」。一方、データ班の作業があるときは他の選手よりも練習時間が短くなる。「遅れてしまう」という焦りもあり、全体練習が終わってからもグラウンドに残って走り込みや投げ込みをした。

 最後の夏、7月中旬のメンバー発表で浅田君は名前を呼ばれなかった。「悔しかったけど、甲子園に行くために全力でサポートしよう」と切り替えた。選手を引退したことでデータ分析に使える時間が増え、見逃していた相手投手の癖にも気づけるようになった。

 準々決勝以降は宿舎に泊まり込んでデータを集めていた。ある日、隣の部屋からチームメートの話す声が漏れてきた。「浅田も頑張っているんだから、おれらはやるしかない」。認めてくれて、うれしかった。

 決勝戦の九回。最後の打者を打ち取ると、スタンドからベンチ裏に駆け下り、チームメートと抱き合った。「おまえのデータがあったからやけ」との声が聞こえた。尾崎監督は「指示やサインが出せるのは浅田のデータがあるから。欠かせない存在」と話す。

 この日、チームは浅田君のデータに支えられ、15安打で7得点。山口大会を含め初安打を放った山本雄一郎君(3年)は「浅田はカウント別の球種を全て確率で出してくれる。初ヒットの場面でも2死ではストレートが多いと頭に入れていた」と話す。岡田君も「浅田のデータが頭にあった。寝る時間を削って頑張ってくれる浅田への恩返しは、チームが勝つことです」。

 試合中は気が抜けなかったという浅田君。宿舎に戻って、次戦の明石商のデータをまとめるつもりだ。

 「データを信じて打ってくれてうれしい。自分の分析が当たっていれば、うちの打力なら必ず打ち勝てる。チームが勝てるなら、寝られなくてもいいです」(藤牧幸一、滝沢貴大)

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