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秋田)実力出し切る難しさ 秋田中央の熱戦振り返る

2019年8月9日03時00分

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 夏の甲子園に45年ぶりに出場した秋田中央は、立命館宇治(京都)との初戦に0―1で敗れた。随所に好機や好プレーがあり、約2万2千人の観客を沸かせたが、1点に泣いた選手たち。チームを間近で見続けてきた担当記者が大会を振り返った。

 試合翌日の8日朝。選手たちの起床時間は午前8時で、いつもより約2時間遅い。7月末に関西入りしてからの日課だった散歩を、この日はしなかった。

 「頭痛い、寝過ぎたかも」「昨日泣きすぎて目が腫れた」などと、朝食の間ににぎやかに話す選手たちの中で、佐々木夢叶(ゆめと)選手(3年)は静かに背中を丸めていた。「昨日は一応寝られたんですけど、ずっと色々と考えちゃって」

 毎回走者を背負いながらも何とかしのぎ続けていた秋田中央。だが七回、佐々木選手の失策が失点に直結してしまった。秋田大会を含め、今夏初めて先制を許した。

 佐藤幸彦監督(45)も認めるほど、攻守ともに昨年から著しく成長したのが、佐々木選手だった。真面目に努力を重ね、秋田大会では無失策。「守備には自信があったのに」。だからこそ人一倍の悔しさがあった。試合後のインタビューが終わると、仲間たちが笑顔で励ましに来てくれた。佐々木選手は表情を大きくゆがめ、斎藤光選手(3年)の胸元にすがった。

 大舞台で実力を発揮する難しさを、多くの選手らが痛感した。7回あまりを123球で粘投したエース松平涼平投手(3年)もその一人。自慢のスライダーが決まらず、ならばとコースを厳しく攻めた結果、与四死球7。「やりたいようにできない場所だった」と甲子園を言い表した。

 そんな中、誰よりも落ち着き払っていたのが野呂田漸(ぜん)捕手(1年)だった。投手、走者、打者、相手ベンチなどあらゆる動きに目を配り、盗塁を刺し、送りバントを阻んだ。こうした好プレーは、1年生でも萎縮しないようにと、先輩たちが普段から気配りしてきたおかげでもあった。

 相手左腕の伸びのある直球や鋭い変化球に手を焼いた秋田中央打線だが、七回表の無死満塁など好機もあった。勝負に「たられば」は禁句。それでも、もしスクイズなど別の攻撃を仕掛けていたら――。佐藤監督は「秋田大会でも打って勝ってきた。『甲子園用の野球』はないので」。今までの野球スタイルを貫き、選手たちの努力を信じた采配だった。

 終始押され気味の苦しい試合だった。だがわずか1点差で、最後まで勝負の行方は分からなかった。

 初安打でチームを盛り上げた斉藤椋平選手(3年)。捕手からの送球を体を張って止めた三塁手の鷹島流暉(りゅうき)選手(2年)。八回裏に救援した目黒操(みさお)投手(2年)。満面の笑みで全力疾走で伝令に向かった加賀谷三亜土(さあど)選手(2年)。四回に二ゴロをさばいて本塁タッチアウトに仕留めた時の佐々木選手の、ほっとしたような笑顔も印象的だった。

 野呂田捕手は試合後、「もう一度ここに戻って来たい」と真っすぐな目で誓った。後輩たちは大舞台で先輩と一緒に見た景色を忘れずに、来年さらに成長した姿を見せてくれるだろう。(野城千穂)

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