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島根)「自分に聞いてみろ」 問いかけ続けたエースの夏

2019年8月10日03時00分

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 夏の甲子園は初戦で高岡商(富山)に4―6で敗れはしたが、石見智翠館のプレーは球場をわかせた。チームを引っ張ったエース迫広佳祐君(3年)には、粘りの投球を支え続けた、ある言葉があった。

 憧れの甲子園の初回、なかなか制球が定まらず四球を重ねた。「緊張はしていなかった。ただ試合に向けた準備が不足していたかも知れない」。そう振り返る。

 三つ目の四球で押し出しの先制を許して、なおも1死満塁。捕手や内野手がマウンドにかけよった。伝令の伊藤海来君(3年)は「楽しみが足りんぞ! もっと楽しもうや!」と末光章朗監督(49)のメッセージを伝えた。「ほっとした」

 そのとき、グラブに刺繡(ししゅう)で刻んだ「言葉」を、心の中ではんすうした。

 自分に聞いてみろ

 信頼する指導者の下、仲間とともに過ごした日々。「やれないわけがない」と気持ちを持ち直し、強気で攻める投球で次打者を併殺に打ちとり、ピンチを切り抜けた。

 グラブに刻んだ言葉は、島根大会でも苦しい状況を救ってきた。接戦となった準決勝の立正大淞南戦、そして、延長13回の死闘となり、三つの本塁打を浴びた開星戦……。ピンチのたびに、その言葉が脳裏に響いた。

 今年2月にグラブを新調したときに刺繡してもらった。昨秋のドラフトでソフトバンク入りした一つ上の先輩・水谷瞬さん(18)が帽子のつばに書いていた言葉だった。

 「ずっと良い言葉だと思っていた」といい、自分なりに意味を解釈した。窮地に立たされたとき、仲間とともにどんな努力をしてきたのかを自身に問う。すると「絶対に負けないという気持ちになれる」。まだ高校にいた水谷さんにグラブを見せると、「まねすんなよ」と笑われた。

 甲子園で七回途中、交代を告げられ、2年生の佐藤辰憲君に代わった。マウンドに駆けてきた佐藤君に、迫広君は球をぽーんと投げ渡した。エースの役目を終えた瞬間だった。「あとは任せた」。そう思ったが、言葉はかけなかった。「言わなくても、通じると思ってたので」。佐藤君は「ずっと迫広さんの背中を見てきた。だから考えていることはだいたい分かりましたよ」。スタンドからの健闘をたたえる温かい拍手を背にマウンドを後にした。

 新チームとなってからの1年は、胸に秘めた悔しさを糧に努力を重ねてきた。

 昨夏の島根大会決勝の益田東戦で先発したが、わずか1回と3分の2を投げ、被安打5の4失点で降板。チームは敗北した。

 「緊張感があり、自分の投球ができなかった」。一から鍛え直そうと、冬場は10キロ走で下半身を徹底的に鍛えた。今夏の島根大会前には、集中力を高めるため、地面に球を置き、その上に慎重にバランスを取りながら球を積み上げていく新たなトレーニングを取り入れた。精神面も成長し、ピンチでも動じないエースに成長した。

 大学に進み、野球を続けるつもりだ。「強い大学に行って、もっと高いレベルを目指したい。後輩たちには、来年、甲子園での1勝をつかんでほしい」

 新たな挑戦が始まる。(浪間新太)

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