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目標だった「熊本工で甲子園」 裏方で支える元野手マネ

2019年8月10日08時17分

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 熊本工の練習で、誰よりも忙しそうに走り回る部員がいる。マネジャーの成尾拓朗君(3年)だ。監督の伝令役やボール運び、打撃投手にバットの手入れなど、仕事は盛りだくさん。「成尾!ちょっと来て」と声がかかれば、すぐに走って選手の元へ向かう。

 野手からマネジャーに転じたのは今年1月。安田健吾前監督との面談で「マネジャーをさせてください」と自ら申し出た。部員の一人としてできることは何か、考え続けた末の答えだった。

 成尾君は物心つく前から、父親の光弘さんにボールの握り方や回転のかけ方を教えてもらっていた。光弘さんは1982年夏の甲子園に出場し、2年生ながら二塁手として活躍した熊本工野球部OB。「行った人しか味わえない感覚が、甲子園にはあるんだよ」。いつもそう語っていた。熊本工の練習を見学しにグラウンドにも度々連れて行ってくれて、「熊本工で甲子園に行くこと」が、いつしか目標になっていた。

 中学校を卒業後、熊本工に進み野球部に入部。野手としてレギュラーを目指した。だが、現実は厳しかった。伝統の強豪校に集まる選手は高い技術を持ち、体も大きかった。父の助言も受けながら素振りをするなど、グラウンド外でも努力を続けたが、長打を打てず、守備では肩の弱さに悩んだ。自分の実力ではベンチ入りも厳しいと感じるようになっていた。

 ちょうどそのころ、昨秋の県大会でスコアラーとしてベンチに入った。スコアをつけられる選手は他にいなかった。「自分にしかできない仕事がある」と感じたという。甲子園出場の目標を、裏方から支えることを決意した。

 マネジャーになってからは、選手の要望や悩みの聞き役になることが増え、それぞれの性格も見えてきた。ミスに落ち込む選手がいれば「切り替えた方がいいぞ」と励ました。マネジャーとして一歩引いた目でグラウンド全体を眺めると、一人ひとりの技術面の成長もよくわかるようになったという。

 熊本大会で優勝を決めた日。ミーティング後に、同学年の吉山綸太郎選手と内田雄大選手がそろって成尾君のもとに駆け寄った。「成尾、ありがとう」。思わず涙があふれた。他のメンバーも集まり、成尾君のサポートをねぎらった。

 熊本工が大阪入りした後も、成尾君は忙しく動き回り、打撃フォームの撮影にも励んでいる。「ここまで来るのに、大変なことがたくさんあったけれど、メンバーで乗り越えて甲子園に来た。連れてきてくれてありがとう、という気持ち」。初戦は10日。ベンチから試合を見守る。(大木理恵子)

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