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にいの夢だった甲子園ベンチ マネジャーとして叶えた夢

2019年8月7日15時49分

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 霞ケ浦のマネジャー大場なごみさんの「にい(兄)」の夢だった甲子園のベンチ。記録員として入り、そこから見た景色はキラキラしていた。

 小さい頃は野球が好きじゃなかった。両親は野球をしていた四つ上の兄駿太さんにかかりっきりで、小学1年にはじめたバスケットボールは1年でやめた。留守番ばかりで、ゴールデンレトリバーの愛犬さくらと庭でボール遊びをしていた。「みんなを取られた気がした」

 4年前の茨城大会決勝、ベンチに入れなくても応援団長として必死に声を出す兄を見た。「甲子園ってそんなすごいところなんだ」。認識が変わった。翌年、兄から「霞ケ浦でマネジャーをやってほしい」と頼まれた。球児だった父の影響で野球を始めた兄が、甲子園でプレーする姿を見せたかったのを知っていた。妹の答えに兄は「自分の思いを酌んでくれた」と喜んだ。

 兄は今も大学で野球を続け、寮生活を送る。離れて暮らすが、今夏の茨城大会は毎試合終わったあとに、学校から自宅まで送ってくれた。40分間のドライブで、コーヒー店に寄って買ってもらったフラペチーノで「祝杯」をあげ、試合を振り返るのがお決まりだった。そこで「入れなかった甲子園のベンチ、私が入るから」と宣言もした。

 校歌を甲子園で聴かせたい、というもう一つの夢はかなわなかった。「勝てなくて、ごめんね」。試合後、我慢していた涙があふれた。

      ◇

 兄の駿太さん(22)にとって甲子園のベンチは、小学校の時から家族に応援してもらって目指した憧れの場所。だが自分ではかなえられなかった。「兄として、妹に夢を託すのはどうかなと思うけど……」。そんな兄の思いも妹はわかってくれていた。

 妹がバスケットボールを続けられなかったことに、責任を感じていた。マネジャーになると決めた妹に「やってあげられることはやりたい。今度は自分が全力で支えたい」。毎試合終わりにスターバックスコーヒーに寄ったのも「妹がスタバが好きだったから」。卒業生だからこそ、マネジャーの大変さを知っている。少しでも気持ち良くやってほしい一心だった。

 試合には敗れたが、甲子園のベンチに入った妹は「誇り」だ。試合後、電話をかけた。「本当にお疲れさま。ありがとう」。感謝の気持ちがまず出た。

 心残りは、父が仕事でどちらの試合も見に来られなかったこと、そして校歌を歌えなかったことだ。「俺たちの夢は、俺たちの子どもたちに託そう。お父さんには孫の甲子園の応援に来てもらおう」。電話口でそう締めくくった。(大坂尚子)

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