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手動スコア・冷凍みかん缶…愛知野球の聖地「熱田球場」

2019年7月23日13時34分

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 全国最多188チームが参加する愛知大会は4回戦が終わり、ベスト16が出そろった。今大会の会場は10球場。このなかに、愛知野球の「聖地」と呼ばれてきた球場がある。熱田愛知時計120スタジアムだ。

 記者は今年、初めて熱田愛知時計120スタジアムで高校野球の取材をした。

 「熱田球場」という愛称で親しまれてきた球場は、名古屋市中心部の熱田神宮近くにあり、戦後まもない1950年につくられたという。

 球場名物は「冷凍みかん缶」。2試合目には売り切れる人気商品だ。ブルペンが金網越しに球場外から見えることにも親しみやすさを感じた。何より驚いたのは、外野スコアボードが電光掲示ではなく手動だったこと。これまで見たことがなく、素朴さが新鮮だ。

 三塁側ブルペン横を通ると、金網に、過去の大会の決勝を報じる記事のコピーやスコアなどがずらりと展示されている。

■「熱田まで行こう」が目標だった

 球場は長く夏の愛知大会の決勝会場だった。球場を管理する熱田神宮公園管理事務所によると、53年から夏の大会の会場となっており、ナゴヤドームができるまでは、プロ野球中日の本拠地だったナゴヤ球場などと交代で夏の決勝の舞台だった。決勝だけではなく、勝ち上がるとメーン球場になるため「熱田まで行こう」というのが、球児たちの目標だった。「聖地」と呼ばれるゆえんだ。

 だが、決勝は2008年の第90回記念大会(西愛知)が最後。住宅地が近く、楽器を使った応援ができないこと、駐車場が少ないことなどが理由で開催できなくなったという。

 青々とした天然芝が広がる外野の両翼が91メートルであることも、理由の一つだ。道具や技術の進歩で打球が飛躍的に伸び、狭さが課題になったという。今年決勝がある岡崎市民球場は99メートル。確かにそれよりは狭い。

 スコアボードが手動のため、出場メンバーの氏名表示ができないこともネックになったようだ。

■スコアボード室には強豪校の部員

 試合中、スコアボード室に行ってみた。

 外野裏に回り、重い鉄製のドアを開けると、もわっとした石灰のにおいがした。はしごのような急階段を手すりを握りしめながら上ると、得点板裏の作業場があった。人がすれ違うのがやっとというほどの横幅しかない。狭くて暑い室内で、中京大中京の野球部員たちが所狭しと動き回り、数字が記載されたパネルを入れ替えていた。

 試合前、水で溶かした石灰をつかってハケで黒板にチーム名を書いてスタンバイ。試合中は、小窓や得点板の隙間をのぞきこみながら、得点が入ると即座にパネルを入れ替えていた。

 作業をしながらも、「この場面は変化球やろな」「外野の守備位置が浅くない?」などと、野球談義に熱がこもる。スコアボード係を務めた原田夏希君(2年)は、「普段グラウンドでは気づかないことも、球場全体が見渡せるスコアボード室からならわかることが多い。勉強になります」。

 県高野連の伊藤憲司理事によると、「球場当番」と呼ばれるスコアボード係は例年、中京大中京が担っている。09年夏の全国優勝メンバーには、下級生時代にスコアボード室で得点パネルを入れ替えていた選手もいたという。伊藤理事は「裏方がいてこそ野球ができる。手動のスコアボードはそれを感じる機会になっている」と話した。

 今夏の大会ではすでに試合開催が終わったが、来夏もこの球場で球音を聞くのが楽しみだ。(佐々木洋輔)

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