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「まだ大人の骨ではない」 球速の高速化がはらむリスク

2019年7月11日09時00分

 投手の球速高速化はリスクをはらむ。最速163キロを誇る大船渡の佐々木朗希(ろうき)は今春の一時期、「軟投派」になった。5月3日、釜石市であった春季岩手県大会沿岸南地区予選。今季初の公式戦に先発し、3回を4奪三振、無失点。球威を大幅に抑え、変化球を多投した。「4、5割の力。制球を意識し、今までにない引き出しをつくれた」

 国保陽平監督(32)は試合後、力を抑えた投球の理由を明かした。「4月中旬に骨密度を測定したら、まだ大人の骨ではなかった。まだ球速に耐えうる体ではないということ。本人も理解してくれた」

 1年夏時に身長186センチ、体重71キロだった佐々木はいま190センチ、86キロ。163キロを出せたからといって、投手として完成されたわけではない。成長期にある以上、球速アップは、怖さと隣り合わせだ。

 「正しく投げていても、速い球だとひじの内側の靱帯(じんたい)には負担がかかる。高速化はよいことではあるけれど、必ず故障がつきまとう。そこをいかにコントロールするかです」。岡山大病院整形外科の島村安則医師(47)=スポーツ医学=は指摘する。予防のために、試合に限らない投球数制限の導入や、部員同士やマネジャーによるひじの痛みのチェックを習慣化させることを訴える。

 連投への厳しい視線や障害予防への意識の高まりもあり、もはや絶対的なエース1人で夏を勝ち上がれる時代ではなくなりつつある。一昨年の第99回全国選手権では準々決勝以降、継投策をとらなかったチームはなかった。昨夏の第100回も準々決勝以降、両チームが完投したのは済美(愛媛)―大阪桐蔭の1例だけだ。

 大船渡も佐々木だけに頼ろうとしているわけではない。予選を突破して臨んだ春の県大会は、佐々木を登板させることなく1回戦で敗れた。国保監督は「佐々木の圧倒的なワンマンチームになってしまって、果たしていいのか。ほかの投手の気持ちを固める大会にしたかった」と語った。

 今春の選抜大会で習志野(千葉)は球威のあるエース飯塚脩人(しゅうと)を全5試合でリリーフさせて準優勝した。仙台育英は中学時代に軟式で147キロと144キロをマークした1年生2人を含め、細かな継投策で勝つ野球を模索する。

 球速が投手の大きな強みであり、魅力であることは確かだ。一方で起用法を含め、より繊細で手厚いケアが求められている。

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