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体冷やし熱中症予防、機能維持にも効果 カギは深部体温

2019年7月23日14時28分

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 高校球児にとって集大成となる地方大会が本格化しています。対戦相手はもちろん、この時期、手ごわいのは暑さ。単に熱中症を防ぐだけでなく、猛暑のなかでも、練習の成果を発揮するには、どんなことを心がければいいのでしょう。マラソンや競歩などのトップアスリートの暑さ対策に取り組む杉田正明・日本体育大教授に教えてもらいました。野球に限らず、ほかの部活動に打ち込む人たちの参考にもなりそうです。(竹田竜世)

 「暑熱環境下でスポーツをする場合、大事なのは体温、特に深部体温(体の中心の体温)を上げないことです。そのためには運動前、運動中に体を冷やしましょう」

 直腸などで測る深部体温が上昇すると脳や体の機能は低下し、40度を大きく超えるとトップ選手でも運動は困難になり熱中症の恐れが高まるという。

 この上昇を抑えることが、パフォーマンスの維持につながることが分かってきている。試合前、練習前に「体を温める」などと言うが、夏場はウォーミングアップで筋肉をほぐすなどした後にいったん体を冷やし、試合中、練習中にも冷やした方がいいようだ。

 プールや水風呂に入る「浸水」が最も効果的と見られているが、球場の環境や設備面で難しければ、熱を放出する手のひら、足裏、ほおを冷やす。ここに運ばれてきた温まった血液を冷却して体内に戻すイメージだ。

 野球なら試合前や、試合中でもベンチにいる間、冷水をはったバケツやクーラーボックスに手や足を浸したり、ペットボトルをほおにあてたりして冷やすことができそうだ。

■冷やしすぎにも注意

 注意したいのは温度。氷や氷水など冷たすぎると逆に血管が収縮し、血流が阻害される恐れがあるという。「最適な水温は15度前後で、時間は3~5分。ただ、20度や25度でも熱は奪ってくれるので、時間を長めにするなど調整してみましょう」。

 ちなみに昨年6月にあった全日本大学駅伝の関東地区選考会で日体大の選手は、レース前に手のひらと両足をこの方法で冷やし、結果は6位通過だった。懸垂を繰り返す海外の実験でも、合間に手のひらを冷やす効果は確認されているという。

 また杉田教授はかつて野球部の投手の学生を対象に実験も行った。五回終了時を想定して13度の水をはった子ども用プールで、全身を3分間アイシングした投手は、六回以降の平均球速が落ちず、肩の可動域にも変化がなかった一方、何もしなかった投手は六回以降、平均球速が落ち、可動域も狭くなったという結果が出たという。

 手のひらなどとは異なり、頭部や額は血管の収縮が起こりにくいため、氷や保冷剤で直接、冷やすのがいいそうだ。競歩のレースで給水のたびに帽子のなかに氷を入れていた選手は体温の上昇が抑えられていた。脳の機能を回復させる効果も期待でき、専用のヘッドバンドもあるという。水分を補給する際は、アイススラリーと呼ばれる氷を細かく削った流動性のある飲料の方が、通常の飲料に比べて深部体温を低く保つ効果がみられたという研究結果がある。

 運動前や運動中だけでなく、運動後、試合後にも冷やすことを心がけてほしいという。なるべく早く熱を取り除くことは体の回復を促し、翌日以降の体調を整えることにつながるそうだ。欧州ではジュニアの陸上選手が練習後に、時間を計りながら川に入るのが習慣化されていたという。

 「運動後に体を冷やすポストクーリングも常識化してきています。球場で難しければ、宿舎や自宅に戻って、食事よりも前にまず水風呂に入りましょう。学校ならぜひプールも活用してみてください」

     ◇

 すぎた・まさあき 日体大体育学部教授。博士(学術)。2010年のサッカーW杯南アフリカ大会では現地で日本代表の、16年リオ五輪ではマラソンや競歩の代表選手の、それぞれコンディショニングを支援。日本オリンピック委員会の情報・科学サポート部門長、日本陸上競技連盟の科学委員長。53歳。

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