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履正社伝統、選手兼マネジャー 掃除もお茶くみも試合も

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2019年3月23日19時55分

 (23日、選抜高校野球 星稜3-0履正社)

 「悔いのないように思いっきり打とう」。履正社(大阪)の西川黎(れい)君(3年)は23日の第3試合で左翼手の6番打者として先発出場した。試合に出ながらチームの雑務をこなすマネジャーも務める。好投手の奥川恭伸君(3年)を擁する星稜(石川)に0―3で惜敗したが、西川君は奥川君に真っ向勝負を挑んだ。

 八回裏1死。西川君が打席に入った。前の2打席は三振と内野ゴロ。「初球から積極的に打つ。しっかりたたいてやる」。だが、奥川君が一枚上手だった。低めの変化球に空振り三振。「直球も変化球もすごかった」と振り返った。

 昨年8月、岡田龍生(たつお)監督からマネジャーに指名された。履正社では代々、マネジャーを専従で置かずに選手が兼ねる。最後まであくまで選手としてプレーの向上と甲子園を目指して頑張るのが狙いだ。「プレイングマネジャー」と呼ばれ、しっかり者で気配りもできる上級生から選ばれる。

 マネジャーの任務は多彩だ。打撃練習の順番を決めたりグラウンドのそばにあるゴミ箱の掃除をしたり。練習試合の際には審判にお茶を出すなどの接待もする。大会に備えて宿舎入りしたときには道具がそろっているか確認し、運んだ。3月上旬の合宿時には布団の準備や風呂掃除もした。練習の合間、チームメートやコーチ陣からしょっちゅう「西川」「西川」と声がかかる。

 中学時代に同じ野球チームだった投手の植木佑斗君(3年)は「西川はよく気がつくし練習中も率先して声を出してくれる」。遊撃手の野上聖喜(いぶき)君(3年)は「自分の練習に集中したいのにチームの雑用をこなさないといけない。すごいと思う」と一目置く。西川君は「マネジャーは大変な役割だが、将来、社会に出た時にきっと役立つと思う」と前向きに捉える。

 兵庫県出身の西川君は小学校3年生で野球を始めた。6年一貫教育の国立校「神戸大付属中等教育学校」の出身。同級生のほとんどは6年間在籍して難関大を目指すが、西川君は甲子園を目指して履正社に進学した。野球が大好きで迷いはなかったという。

 今年の元日、日々の練習雑感を記す野球ノートに「甲子園優勝」に加え、「良いチームをつくり上げられるよう、気配りや目配りをしていく」とマネジャーとしての気構えと決意を書いた。

 帰宅後には、マネジャーをしていることをいいわけにしないよう、疲れていても素振り100回を自らに課した。鋭い打球とバントの技術が評価されて先発メンバーに起用された。岡田監督は「学習能力が高い。どう打つか、よく考えて打席に立っている」と評価する。試合後、西川君は「奥川君の球が打てるよう対応力をつけたい。マネジャーとしてもチームを引っ張る」と夏に向けてさらなる奮起を誓った。(吉村治彦)