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鳥取)米子東、「明るい未来」達成へシート作成

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2019年3月15日03時00分

 これまで春夏合わせて21回の甲子園出場を誇る米子東。1960年の第32回選抜大会では決勝まで進み、日本一にあと一歩のところまで迫った。強さだけでなく相手チームを重んじる品位を兼ね備えたプレーは「米東(べいとう)野球」として多くの高校野球ファンを魅了してきた。

 だが、そんな山陰随一の名門も私立の強豪が台頭し始めるとともに不振に陥っていった。勝てない時代が続き、若草色の胸文字をあしらった純白のユニホームは96年の選抜出場を最後に甲子園のグラウンドから姿を消した。

 紙本庸由教諭(37)が監督に就任した2013年秋。かつての伝統校は、気が付けば夏の県大会で、初戦負けが6年も続いていた。

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 自身もかつて、その強さに憧れて同校へ進学した米子東の野球部員だった。だが、選手として甲子園の土を踏むことはなかった。念願の同校監督への打診は突然舞い込んだ。迷いもあったが、憧れのユニホームに再び袖を通し、甲子園を目指すと決めた。

 紙本監督がまず取り組んだのが選手個々の自主性を育むことだった。負けが続いていたとはいえ、選手に力がないとは思わなかった。

 「自分で考えて練習に向かってもらうには、確かな手順を踏むことが大事」と、様々な分野の専門家や他校の指導について出向いて勉強し、独自の目標設定のためのシートを作成した。シートには今の自分が最も達成したい目標を設定し、その目標を達成するために細分化した要素をどんどん書いていく。さらに、それを達成することで何が得られるのかを記入する。

 例えば、「甲子園でノーエラー、ホームラン」と書かれた福島悠高選手(2年)の目標設定シートには、その成果として「仲間と抱き合って喜ぶことができる」「スタンドで喜ぶ家族や地域の人の姿を見ることができる」など、考えられる明るい未来がびっしりと書きつづられている。福島選手は「目的意識をより具体的に持つことで、自分で考えて取り組む癖がついた」と話す。

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 指導の成果は結果として表れた。監督に就任した翌年の夏、長年続いた初戦負けの連鎖を断ち切ると23年ぶりに4強入り、その秋には県大会を勝ち抜き、10年ぶりに秋の中国大会進出を決めた。17年には夏の鳥取大会で決勝まで進んだ。

 周囲の野球部に対する視線が「どうせ今年もだめだろう」から、「そろそろいくかもしれない」、そんな追い風に変わってきたことを紙本監督も感じ始めていた。

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 第91回選抜高校野球大会は15日に組み合わせ抽選会があり、23日に開幕する。(矢田文)