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京都)選抜に挑む龍谷大平安・福知山成美 コーチ奮闘

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2019年2月14日03時00分

 高校野球の選抜大会の抽選会まであと1カ月。出場する龍谷大平安(下京区)と福知山成美(福知山市)のグラウンドでは、名物コーチがコンディションづくりを支えている。豊富な経験を伝え、選手とともに平成最後の春を戦う。

 龍谷大平安には70歳のコーチがいる。平安(現龍谷大平安)で1966年の春夏の甲子園に出場した大津市の畑矢敬治さんだ。

 平安では、プロ野球の広島で活躍して「鉄人」と呼ばれ、昨年4月に71歳で亡くなった衣笠祥雄(さちお)さんの2学年後輩。ポジションは同じ捕手だった。

 練習中、ブルペンで球を受けていると、衣笠さんから「(エースの)調子はどうや」と尋ねられた。がちがちに緊張したまま、「直球がよかったです」と返したことを覚えている。

 衣笠さんは強肩強打で不動の4番。畑矢さんは「ぼくらの憧れの的。フェンス直撃のライナーを次々放ち、ほとんど盗塁を仕掛けさせなかった。とても親しくなんてしゃべれなかった」と話す。

 畑矢さんは3年生になり、春夏に甲子園に出場。衣笠さんが3年生だった代と同じく、春夏ともに8強まで進んだ。卒業後は社会人チームでプレーした。百貨店で定年まで働き、球場整備の仕事や高校野球のコーチもしてきた。

 母校の練習場を訪れた2016年1月、原田英彦監督(58)に「グラウンド整備をやりましょうか」と声をかけた。「それならバッテリーの指導もお願いします」と頼まれた。週に4、5回、指導に来るようになった。投手のコントロール、捕手のリードを1球ずつ見極めている。

 選手に繰り返し伝えるのは、衣笠さんから学んだ基礎練習の大切さだ。「衣笠先輩はいつもバットを振っていて、手がまめだらけだった。基本を大事にしていたからこそ、あれだけすごい選手になれた」

 チームは昨夏、甲子園での春夏通算100勝を達成した。畑矢さんは「いい供養になった」と喜び、次は14年以来の2度目の選抜日本一を願っている。(川村貴大)

 ■元エースの父 筋トレ指導

 福知山成美には、筋力を細かくみるトレーニングコーチがいる。阪神タイガースで21年間、トレーナーをしてきた兵庫県宝塚市の石原慎二さん(55)だ。長男の丈路(たけじ)さん(22)=近畿大=は14年の選抜大会で、同校エースとして甲子園のマウンドに立った。

 丈路さんの練習試合を見に行ったとき、筋力アップに力を入れていた当時の田所孝二監督(59)に誘われた。14年1月から週2回、指導を始めた。ランニングやストレッチ、筋力トレーニングを指導。選抜では、丈路さんが2試合連続で完投し、8強まで進んだ。

 トレーニング教室の代表である石原さんは、競馬の騎手のトレーナーを務め、トレーナー専門学校の非常勤講師でもある。

 福知山成美では、水曜に野手、木曜に投手のトレーニングをみる。「冬の筋力トレーニングでみんな足が太くなった。2月はアップした筋力を変えていく時期。野手はパワーに、投手は球の切れに」と話す。

 7日は投手陣に懸垂をさせた。「何回目から?」。体が持ち上がらなくなり、補助に入るタイミングを尋ねる。表情に余裕が戻ると、「助けすぎじゃないか」と一言。周りがふきだして場が和んだ。バーベル上げでは、正しい姿勢で持ち上げると、「イエス!」と鼓舞した。

 けがや疲労、悩みにも目を配り、相談にのる。伸び悩んでいる選手に、「ここで終わりじゃないやろ」と前向きにさせる。「信頼してもらっているので、精いっぱい応えないとね」と石原さんは言う。

 エースの小橋翔大(しょうだい)君は「習って1年半。バーベルのおもりも倍になった」と成果を感じている。

 甲子園出場は丈路さんの代以来。バックネット裏から教え子の成長を見守るつもりだ。(高橋豪)