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作新学院のV監督、采配の秘話を語る 甲子園塾

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2019年1月4日15時55分

 高校球児にとって冬は、力をつけて蓄えるシーズン。それは指導者も同じだ。若手の高校野球指導者を育てる目的で2008年に始まった甲子園塾が、18年も開かれた。

 各都道府県から1人(北海道、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫は2人)ずつ、原則として教員歴10年未満の指導者が集まる。講師役を務めるのは、石川・星稜元監督の山下智茂塾長や甲子園出場の経験がある監督だ。

■受講経験者が初の講師

 11年目を迎えた昨年、初めて受講経験者が講師を務めた。16年の第98回全国選手権を制した栃木・作新学院の小針崇宏監督(35)だ。

 「受講生のみなさんと同じ気持ちで、自分が勉強させてもらうという気持ちで来させていただきました」。昨年2度目の甲子園塾が開かれた11月30日。小針監督は27人の受講生の前で少し照れくさそうに自己紹介をした。小針監督は開講2年目となる09年、監督就任3年目で栃木県の代表として参加。当時の塾長だった故・尾藤公さん(和歌山・箕島元監督)や山下さんから指導を受けた一人だった。

 「指導者としての基本的な考え方」という講義では、「挑戦力」をテーマにした。10年前に自ら受講した際に記したノートを持参。そのときに書いた将来の目標を紹介した。監督として初めて甲子園に導いたこの年を「勝負の3年目」と位置づけ、「強気の5年目」と決めた11年には甲子園初勝利。「10年目の成長」と設定した16年に全国制覇を果たした。「やはり書いてみることは大事ですね。監督自身のハングリー精神は必要です」と訴えた。

■ウォーミングアップに1試合分の時間

 また、優勝直前の16年春の取り組みの一部を披露。県内の公式戦や甲子園のデータを集めて「初回に得点が入るのは6割、三回までなら8割」と考え、「初回の攻防が全て」というテーマを設けた。練習試合では一回に全力を出し切ることを意識させ、思い切ってウォーミングアップに1試合分ほどの時間をかけたという。「山下監督から『アイデアマンになれよ』と言われてきた。毎年、変化を怖がらずに勝負していこうと思っています」と語った。

 翌日、大阪・太成学院大高であった実技編では、とにかく選手に語りかけた。「そうだ、そうすればバットが出てくる。ほら、出てきた」。「いいスイングになったなぁ、栃木に連れて帰りたいなぁ」。時折、褒め言葉やジョークを交えながら、選手と距離を近づけていく姿は山下さんそっくりだった。同世代の指導者とも、同じ目線で積極的に意見を交わしていた。

 教え子が指導する姿を見て、山下さんは「『小針みたいになりたい』『小針を超えたい』と、受講生の目標になってくれたことは、高校球界にとっていいこと。何より、尾藤さんが一番喜んでくれていると思う」と目を細めた。

 小針監督は、「9年前(09年)、熱心に指導方法や球児への思いを直接教えてもらったことは、今でも宝物。その機会にこういう立場で来させてもらい、新しい刺激になりました。もう一度、原点に帰って指導力向上を目指したいです」とうれしそうに振り返った。(小俣勇貴)