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笑顔に効果「H」の思い込みも… 野球部員の研究が受賞

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2018年12月27日09時07分

 笑顔とパフォーマンスに関係はある? 打撃のゴロ打ちは正しい?――。鳥取県立米子東高校(米子市)の野球部員ら2年生8人が野球をテーマに発表した研究が、第6回日本野球科学研究会で特別新人賞を受けた。研究は今秋の中国地区大会でも実践し準優勝。来春の甲子園選抜大会に23年ぶりの出場に近づく結果につながった。

 研究会は野球の普及と発展、科学的な研究を進めることなどを目的に設立された。今月1、2日に茨城県の筑波大学で開かれ、各大学の研究者や企業、元プロ野球・巨人の桑田真澄氏が所属する東京大のグループなど計66組がポスターを展示して発表し、質問にも答えた。高校生の受賞は初めてという。

 米子東は理数系の人材育成を目的にした「スーパー・サイエンス・ハイスクール」に指定されている。1年生で課題を探求する基礎を学び、2年生で自らが決めたテーマに沿って情報を集め、考察して論文を書く授業に取り組んでいる。8人は野球と陸上、書道部に所属。野球部員以外も野球経験者と愛好者で野球に対する熱い思いがあって今春から研究に打ち込んだ。

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 「笑顔」は野球部エースの森下祐樹さんと主砲の福島悠高さん、書道部の遠藤凪沙(なぎさ)さん。メンタルトレーニングの講演会で「笑顔でプレーするとパフォーマンスが上がる」と聞いたことが検証のきっかけだった。

 硬式、軟式野球部員37人の協力で「俺はできる」と笑顔で大きな声で言う▽「あー、もー」と眉間(みけん)にしわを寄せた怒り▽「どうせいい記録なんか出ない」と悲しい顔でため息をつく――の三つの感情に着目。長座体前屈と10メートル走、スイングスピードを測る前に、各感情を口にして柔軟性と敏捷(びんしょう)性、筋力を調べた。

 その結果、「笑顔」の平均値が最も高くなった。対象者数が少なく確定的なことは言い切れないが、競技中に表情や言動に気を配ることは競技力を高めることにつながるとした。森下さんは「明るい表情で取り組むことは、ふだんからチームで実践している。中国大会でも少なからず影響があったと思う」と振り返った。

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 「ゴロ打ち」は野球部の福島康太主将と野村大和さん、本多翔さん、小村ののかマネジャー、陸上部の岩崎陽さんでゴロ打ちと打撃成績の関係を調べた。中学までゴロ打ちを指導されてきたのに米子東に入ると「的確なスイングをするため」として、フライになる打ち方を指導されたことに疑問を抱いて始めた。

 野球部に残る1965年から昨年までの約半世紀の試合記録から無作為に選んだ50人の打撃成績を分析。ゴロのアウトが多いと「OPS」(出塁率と長打率)が下がるという相関関係を導き出した。ただ試合場面や選手の体格、打撃の速さなどを考慮していないとして「ゴロ打ちは正しくないが間違っているとは言い切れない」と結論づけた。

 集計が進んだころ、安打の多さと四球の少なさから四球の記号「H」(現在はBが主流)を安打だと思い込んでいたことに気づき、やり直す「ハプニング」もあったが楽しい思い出もできた。

 選抜大会への出場が有力視されている。福島主将は「大舞台で結果を残すことは研究が指導者らにも注目されることにつながる。様々な競技のレベルアップに貢献できたらうれしい」と期待を話した。

 受賞した研究も含めた2年生の成果は来年2月、校内で発表するという。(杉山匡史)