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米子東「何かを捨てる勇気」 打ち込み集中、選抜に前進

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2018年11月4日00時39分

 高校野球の秋季中国地区大会の準決勝が3日、岡山県倉敷市の倉敷マスカットスタジアムであり、米子東(鳥取2位)がタイブレークの末、呉(広島2位)を6―5(延長十三回)で下し、決勝進出を果たした。来春の選抜大会の中国・四国の出場枠は、5枠(中国2、四国2、残り1)。23年ぶりの出場に大きく前進した。

 米子東は、徹底して狙いを絞る。例えば、タイブレークに入った延長十三回の攻撃。1点を奪い、なお2死二塁。3番森下祐樹(2年)は初球の浮いたスライダーを思い切り引っ張った。右翼線への適時二塁打で、貴重な追加点を奪った。

 森下は「打てない球を打とうとしてもムダ。打てるボールだけ」と腹を決めていた。ここまで5打席は外角のスライダーにてこずり、全て凡退。この打席では球種にこだわらず、高めのゾーンに狙いを定め、強振した。

 当たりか、外れか。他の打者のスイングも同じだった。見事に狙い球を外したような空振りを見せたと思ったら、次の球では鋭い打球を飛ばす。13安打のうち、7本が長打。すごいのは、3―3で延長戦に入ってからも臆さずにその姿勢を崩さなかったことだ。

 「何かを捨てる勇気を」。今夏の鳥取大会で初戦敗退した後、紙本庸由監督が新チームに呼びかけてきた言葉だ。

 国公立大に多数の合格者を出す鳥取県内屈指の進学校は、県勢最多となる8回の選抜出場を誇る。ただ、今回のチームのベンチ入りメンバーはわずか16人。平日の練習時間は3時間程度。練習環境は、部員不足に悩む多くの地方公立校と変わらない。

 主将の福島康太(2年)は、「少人数であることはウィークポイントと言われるけど、それをどうストロングポイントに変えるか」と考えてきた。できることは限られている環境。そこで、練習内容の取捨選択をした。1人当たりの練習時間で強豪校に負けないためだ。この秋は徹底して打ち込みに集中してきた。

 すると、監督の言葉と相まって、選手に狙い球を絞る習慣がしっかりと染みついた。この秋の中国大会はここまで、2点差以内の打撃戦をものにしてきた。

 大会中、福島康は仲間に呼びかけてきた。「強豪校の投手の球は簡単に打てない。なら、豪快に振ろう」。誰だって、失敗はしたくない。でも、打ち損じを恐れる気持ちを捨てた結果、大きな成果につながった。そんな成功体験を、米子東は秋の岡山で得た。(小俣勇貴)