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腎疾患乗り越え、指名待つホンダ鈴鹿の左腕 大阪桐蔭卒

2018年10月25日13時49分

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 25日のプロ野球ドラフト会議を前に、国指定の難病の腎疾患を乗り越え、指名を心待ちにする選手がいる。社会人野球の強豪・ホンダ鈴鹿(三重県鈴鹿市)のエース左腕、平尾奎太(けいた)投手(24)。大阪桐蔭高で、同学年の藤浪晋太郎投手(現阪神)らと春夏連覇を果たしながら、大学時代は闘病生活で2年間もグラウンドを離れた。同じ境遇の子どもに、プロのマウンドで夢を与えたいと願う。

 大阪府泉佐野市生まれ。NTT北陸で11年間プレーした父の健二さんに憧れ、小学2年生で野球を始めた。プロ野球選手になり、父を超えようと、大阪桐蔭に進み、2年生の春にはベンチ入りした。

 体の異変に気づいたのは、秋季大会直前の2年秋だった。学校の健康診断で受けた尿検査の結果、腎臓に異常が見つかった。昼休み、西谷浩一監督から校内放送で呼び出され、病院へ向かうよう命じられた。

 「まず野球はあきらめてください」。腎不全になる恐れもあり、医師からは2年間運動を禁止して治療に専念するように告げられた。自覚症状はなく、信じられなかった。

 「そんなん嫌です」。甲子園を、あきらめることはできなかった。医師とは高校野球が終わったら治療に専念すると約束し、3年夏までプレーした。グラウンドに立つからには、病気を言い訳に妥協することはなかった。エースの藤浪投手、沢田圭佑投手(現オリックス)に次ぐ、3番手投手としてベンチ入りし、春夏連覇を支えた。

 卒業後は同志社大学へ進学。医師との約束通り、2年間はグラウンドから離れ、治療に専念した。散歩などの軽い運動も禁止され、毎日10錠以上の薬を飲んだり、点滴を繰り返したりしながら回復に努めた。

 高校、大学を通じて支えになったのは、1型糖尿病を抱えながらプロで活躍していた岩田稔投手(阪神)だった。大阪桐蔭の先輩でもある岩田投手が入院中に見舞いに来て、こう励ましてくれた。「病気は神様が乗り越えられる人にしか与えない」。その数日後、完封勝利をあげた岩田投手の姿に勇気づけられた。

 症状が改善した大学3年の春、本格的に練習を再開させた。「野球が出来ることに感謝」とグラブに刺繡(ししゅう)し、練習に打ち込んだ。

 3年秋に大学初勝利をあげると、4年にはリーグのベストナインに選ばれる活躍を見せた。ホンダ鈴鹿に入社後も1年目から都市対抗野球で2試合に登板し、14回を無失点に抑え、社会人の日本代表に選出。188センチの長身から繰り出される切れ味鋭い変化球に加え、球威や投球術にも磨きがかかり、プロの世界が現実味を帯びてきた。腎機能の異常は現在はなく、安定している。

 プロ野球を目指す理由は、もう憧れの父を超えるためだけではない。「プロへ行くことで、同じ病気の子どもたちに勇気を与えたい。病気だからといって、あきらめるのはもったいない」。新たな志を胸に、運命の日を待つ。(三浦惇平)

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