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静岡)常葉大菊川、貫いた「河原で楽しむ野球」

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2018年8月20日03時00分

 常葉大菊川は第100回全国高校野球選手権記念大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)で2013年以来5年ぶりに16強入りした。初戦突破も県勢として5年ぶり。8強入りは逃したが、3試合とも同校が磨いたスタイルを貫いた。

 益田東(島根)との1回戦の勝負を決めたのは選手の判断に任せる「ノーサイン」の盗塁だった。同点の八回裏1死二塁、二塁走者は俊足の神谷亮良君(3年)。打席には静岡大会で打率8割1分8厘を残した主将の奈良間大己君(3年)が立った。ここで神谷君は「セオリー」に反し三盗を試みる。これが相手捕手の悪送球を誘い、勝ち越しの本塁を踏んだ。

 投手の癖を読み、小学生から盗塁を繰り返した自身の足と走るタイミングへの絶対の自信があった上で「相手バッテリーは『8割打者』しか見えていない」という神谷君の判断だ。

 高橋利和監督が「選手に任せると、時々型にはまらないことをするから面白い」と言う通り、多くの人が予想できなかった積極策が逆転勝ちをたぐり寄せた。

 全体練習の8割を当てる守備練習に裏打ちされた堅守は2回戦の日南学園(宮崎)戦で際立った。エース漢人友也君(3年)が制球よく投げて凡打の山を築き、被安打7と走者は出すものの、4併殺。三塁を一度も踏ませず完封した。

 だが、8強をかけた近江(滋賀)との戦いは相手2年左腕のチェンジアップに苦しみ、八回まで3安打11三振と打線が沈黙。「思ったよりも相手投手が良く、萎縮してしまい、積極的に振れなかった」と高橋監督。しかし2番手投手に代わった九回には2年の伊藤勝仁君が「来年につながった」という2点本塁打を放つなど3点を追加し、一矢報いた。

 3試合で送りバントは0。本塁打2本を含む長打は11。同校の代名詞「フルスイング」の健在ぶりも示した。その上で2年前に就任した高橋監督が目指したのは「『遠くに打ちたい、速い球を投げたい』という河原で子どもが楽しむ野球」。たどり着いたのが、練習で選択肢を示した上で試合では「ノーサイン」で自主性に任せるスタイルだ。2、3回戦は走塁の失敗も目立ったが、選手たちは積極走塁を貫いた。

 4番の根来龍真君(3年)は言う。「甲子園で『こういう野球もある』と見せられたのは間違いない」。自ら考えて、挑戦する「菊川野球」は100回という節目の大会で確かな印象を残した。(堀之内健史)