メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

静岡)球児撮り続け35年 清水区の服部禎之さん

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • メール

2018年8月22日03時00分

 およそ35年間にわたり、県内の高校野球公式戦の大会プログラムなどに掲載される写真を撮り続けてきた男性が、静岡市清水区にいる。85歳の服部禎之さん。県高校野球連盟「写真班」のリーダー格をこの春まで務め、球児たちの姿を追い続けてきた。

 写真班は一、三塁側のベンチの上やスタンドなどから球児を撮影し、県高野連に提供してきた。写真は大会プログラムや県高野連の高校野球史などに掲載されている。服部さんは昨年、長年の功績がたたえられ、県高野連から感謝状を贈られた。

 清水区中之郷の住宅街にある「服部衣料店」の3代目。野球の強豪、静岡商を1951年に卒業した。野球部ではなかったが、在学中も卒業後も、よく母校の応援に行っていた。

 およそ35年前、審判用のワイシャツなどを卸していた県高野連から「写真の担当者がけがをした。代わりにやってもらえないか」と頼まれた。

 服部さんはその頃、昆虫や古墳、土器などの写真を趣味で撮っていた。初めて撮った試合の写真の出来栄えを見た担当者にその後の撮影も頼まれ、写真仲間と共に春、夏、秋の大会で写真を撮るようになった。

 ボランティアとはいえ、ずっと残るプログラムなどに載る可能性がある写真。「責任は大きい」と服部さん。母校をひいき目に撮りたくなる気持ちもあるが、「(一般の人が入れない)柵を越えれば、両校に対して平等でないといけない」が信条だ。

 甲子園への切符を賭けた昨夏の静岡大会の決勝は、雨で約3時間にわたって中断。その中で服部さんは、「邪魔だから」と雨ガッパも着ず、ずぶぬれになりながら泥だらけの選手たちの写真を撮り続けた。

 そんな服部さんでも、一度だけシャッターを押せなかった記憶があるという。30年ほど前の夏の大会の決勝。スクイズで転がってきた球を一塁手がエラーし、決勝点が入った。「あまりにもかわいそうで。あのときはシャッターを押そうとは思わなかった」

 運動は得意でなく、野球はやらなかったという服部さん。それでも今春まで球児の姿を写真に収め続けてきたのは「若い子たちが一球に真剣に強い思いをかけてやっている姿」にひかれ続けてきたからだ。

 今は体調を崩しており、今夏の大会の写真班には参加できなかった。だが「元気になればまた球場へ行きたい」と意欲を燃やす。(堀之内健史)