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島根)益田東、激闘支えた三塁コーチ 甲子園振り返って

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2018年8月10日03時00分

 第100回の夏、益田東が聖地・甲子園で輝いた。初戦で常葉大菊川(静岡)に7―8で敗れはしたが、選抜大会で優勝経験もある強豪を最後まで苦しめた。エース和田晃成君(3年)は140キロ超の直球を武器に、強力打線に立ち向かった。遊撃手首藤舜己(しゅどうみつき)君(同)は、華麗な守備で何度もスタンドを沸かせた。4番稲林隼人君(同)も七回、同点の適時三塁打を放ち、県代表校の主砲として意地を見せた。

 そんな選手たちを支えてきたのは背番号11、三塁コーチの乾颯汰君(3年)だった。出場の機会はなかったが、グラウンドやベンチから声をかけ続けた。

 部員数138人の益田東には、「保健責任者」「環境責任者」「ゲームキャプテン」など、九つの部門で責任者がいる。そのすべてを束ねる「統括責任者」が乾君だ。各責任者と監督の間に立ち、円滑なチーム運営を支える。

 各責任者の「日誌」をすべて読み、監督に状況を報告し、監督からの指示を各責任者に伝える。たるんでいる選手をいさめるのも役目だった。主将の荻野竜志君(同)は「がんがん注意してくれる。男気がある。頼りにしていました」と語る。

 益田東では、選手間の「投票」で試合のベンチ入りメンバーが決まる。乾君は投票で1軍のベンチ入りを果たした。「技術的にはほかの1軍のメンバーには遠く及ばない。それでも、みんなが自分を選んでくれた」。大庭敏文監督は「乾がベンチにいる。それだけでチームの士気は変わる。チームの精神的支柱」と評価する。

 三塁コーチとして甲子園のグラウンドに立った乾君が、最初に目にしたのは、一塁側アルプススタンドを埋め尽くす益田東の応援団だった。あまりの迫力に驚いた。そして、気がついた。「たくさんの人が支えてくれたから、自分たちはここに立っているんだ」

 五回終了時のグラウンド整備の時間。4点差を追う後半戦に向けて、乾君は選手たちを鼓舞した。

 「まだ終わってへんぞ!」

 六回に2点、七回に3点を挙げ、7―6と逆転に成功した。

 高校野球を最後に、野球をやめる。将来は消防士を目指す。「野球人生の最後を、憧れ続けた甲子園で迎えられて、よかった」

 この1年、監督によく叱られ、仲間をたくさん叱った。チームがまとまらず、苦しんだこともあった。「ほんと、バカなやつばっかりで、いらつくことも多かったですけど……」と笑う。その後、少し間を置いて、力強くこう語った。

 「あいつらは、最高の仲間でした」(浪間新太)