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自分だけの魔球、投げたかった いとおしき探究の日々

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2018年8月8日18時30分

 (8日、高校野球 大垣日大9―3東海大星翔)

 とっておきの魔球があった。

 東海大星翔の控え投手、西駿太朗(3年)は、甲子園のために春から試行錯誤して磨いた自分だけの変化球を持っている。アンダースローからのライズボール、しかも「曲がりながら浮き上がる」。

 今春、野仲義高監督から、「浮き上がるようなボールがあったらいいなあ」との注文を受け、開発に着手。ソフトボール部の友人に投げてもらい、軌道を参考にした。でも、真っすぐ浮き上がるだけではおもしろくない。探求の日々が始まった。

 スマホアプリでアンダースローの投手とつながり、投球方法や練習方法を質問して探った。もともと手先が器用で手品も得意。「役に立つかも」と思ってルービックキューブをしていたら、45秒で全面そろえられるようになった。そうしてますます器用になった指で、いろんな握り方も試した。夏の大会を前に、完成の手応えを得た。

 甲子園で投げて、相手をびっくりさせたかった。熊本大会で登板したときも、投げずにとっておいた。「絶対に誰にも打たれない自信があった。こんな球、きっと誰も投げないから」

 満を持して、臨んだ甲子園。初戦の大垣日大戦は、エース山下朝陽(同)が打ち込まれ、苦戦を強いられた。「山下の次はお前だぞ」と、野仲監督から言われていた西は、一回が終わる頃からブルペンに入った。魔球も投げた。「これで山下を助けよう」と、登板に備えていた。

 しかし、出番はめぐってこなかった。試合後、自分だけの必殺技を考えてきた日々を振り返り、涙があふれた。「人に教えられるのではなく、自分で考えて何かをする経験は初めてだった。考えているときは楽しかったし、習得できたときはうれしかった」

 野球を続けるかは決めていない。「この経験は、これからの人生に生かしていきたい」(高岡佐也子)

 ●野仲監督(東) 「選手は序盤、相手に向かっていったが、四回の満塁本塁打が痛かった。(2番手の)内藤君はボールの切れが良く、力負けした」

 ●山下(東) 3本塁打を含む11被安打で9失点。「初めて味わう雰囲気にのまれた。甘い球はすべて外野に運ばれた」