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新潟)大舞台への道、支えた記録員

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2018年8月10日03時00分

 2年ぶりに全国高校野球選手権大会に出場した中越のメンバー18人に同行し、チームに貢献してきた野球部員がいた。記録員の石田圭祐君(3年)。5日の慶応(北神奈川)との初戦でサヨナラ負けし、これまで自ら集めたデータなどを後輩に引き継いでいる。

 甲子園のベンチで、本田仁哉監督がたびたび左下を向く。視線の先には、石田君の姿があった。試合中に得られるデータをもとに、臨機応変に立ち回る中越。慶応戦の巧みな継投策をはじめ、大胆な戦術でも遂行できるのは、観察力の鋭い石田君が試合を正確に記録しているからだ。背番号はないが、「状況判断」が合言葉のチームの大きな戦力だった。

 実は、石田君は中越が第1志望の高校ではなかった。野球部に入ったものの、周囲は体格も技術も優れた選手ばかり。ベンチプレスやスクワットで体を鍛え、ミートに磨きをかけた。だが、1年の終わりには「レギュラーにはなれないな」と自覚した。

 1年の時、練習試合でスコアをつけた時、その速さや正確さが評判になった。昨秋の新チーム発足時、本田監督に記録員を任された。「他の人が気づけないことに気づく力がある。頼んだぞ」

 試合のスコアはもちろん、対戦相手の選手の打球の方向や配球の特徴などさまざまな情報をノートにまとめる。大会中は、次の対戦校の試合に偵察に行く。

 新潟大会では、こんな助言もした。「あの捕手は内側に構えた後に牽制(けんせい)してくる可能性が高い。気をつけて」。気持ちが高ぶって周りが見えなくなっている選手に、気づいたことを伝えることも多い。

 親友で三塁コーチの川島悠弥君(3年)は「石田は人を良く見ていて、色んなことに気がつく」。学校の先生のモノマネが得意で、よく野球部の空気を和ませていたという。

 「いい仲間と出会い、甲子園にも行くことができた。中越の野球部に入って本当によかった」と石田君。「終わったという実感がまだない。学校のグラウンドに立つと、次の週末にも試合があるんじゃないか。そんな気がする」

 1、2年生による新チームが始動した8日、石田君は甲子園で書けなかったまっさらなページが残るノートを、野球部の倉庫に大事そうにしまった。「後輩たちがこれからも使うものなので」。仲間たちの戦いの記録とともに、果たせなかった甲子園での勝利を後輩に託す。(武田啓亮)