メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「勝負は怖い。初戦で負けるなんて」シード校文徳、敗退

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • メール

2018年7月13日09時47分

 「勝負は怖い。高校野球って、最後まで難しいスポーツだな」。初戦で敗れた実力校の主将が言った。波乱の一日。シード校が敗れ、最終盤に大量得点で勝利するチームも。勝った者は手を突き上げて喜び、負けた者はグラウンドに崩れ落ちた。

 ■ごめん、より先にありがとう 文徳・宮川選手

(12日、高校野球熊本大会 必由館7―6文徳)

 第1シードの文徳が、苦しんでいた。失策が絡んでの失点が続き、点差は5点。ベンチの雰囲気は悪かった。四回表、無死一塁。捕手で3番打者の宮川凌太(3年)は流れを変えようと、バットを構えた。

 いつもならバントで確実につなぐ場面。しかし、平井洋介監督の指示は「打て」だった。2球目に来たチェンジアップ。振り抜いた球は、スタンドに届いた。「きっかけをつくれた」。そう思うとうれしかった。本塁まで走って、ガッツポーズをした。

 雨で試合が流れ、選手たちの気持ちの調整がうまくできていなかった。試合に向かうバスに乗る前、宮川は主将で4番の萩尾匡也(3年)と話した。「自分たちでどうにかしよう」

 1年生から夏を経験している2人。約束通り、萩尾も四回に二塁打を打ち計3点を挙げた。五回についに同点とし、六回にも1点を加えたが、その裏にそれぞれ失点し、リードされたまま最終回を迎えた。

 九回表も1死一、三塁の好機を得た。だが、一打を託した代打が併殺に倒れ、試合は終わった。ベンチで身を乗り出して応援していた選手たちは、泣き崩れた。宮川は、最後までベンチのフェンスにもたれかかり、立ち上がれずにいた。抱きかかえられるようにしてグラウンドを去った。

 秋と春の県大会で優勝して迎えた夏。甲子園でプレーすると、心の中で決めていた。「初戦で負けるなんて考えてなくて。受け止められなくて、夢を見てるようだった」。自分がいいリードをしていれば。打っていれば。みんなに謝りたい気持ちでいっぱいだった。

 ただ、マウンドにあがった3投手はみな、「こんないいボール投げれたっけ」と思うような球を投げ込んできて、ずっと気持ちよかった。打たせてくれた監督への感謝の思いもあった。

 球場を後にする時、仲間への言葉を問われると、涙をぬぐい、笑顔で言った。「ごめん、より先にありがとうって言わないと」(杉山歩)