青森)青森大会第3日、昨秋県4強の八戸高専が逆転勝ち
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2018年7月12日03時00分
第3日は11日、4球場で1回戦11試合が行われた。昨秋の県大会4強の八戸高専は、終盤の大量点で木造に劇的な逆転勝ち。12日は4球場で1、2回戦11試合がある。はるか夢でプロ野球の「フレッシュオールスターゲーム」が開催されるため、代わりに県営(青森市)で試合がある。
■悔いない、メンバーで挑めた 青森西・工藤光司主将(3年)
五回表、八戸工大二の攻撃。青森西の中堅を守る工藤光司(3年)は「ドンマイ」と声を張り上げた。マウンドには苦しい投球を続けるエース、工藤淳樹(同)の姿があった。
春の地区予選、淳樹はエースから外され、別の投手に背番号1を譲った。その決断をしたのが、チームの主将を務める光司だった。
青森西では、監督の代わりに主将以下4人の「首脳陣」がチームを取り仕切る。練習メニューから試合の先発メンバーまですべて部員が決め、竹内貴司監督は「自分のチームもまとめることができないようじゃ試合にはまず勝てない」といっさい口出しをしない。
地区予選前、淳樹が練習に遅れたり、練習でだらだら移動したりする姿が目についた。投手としての実力は圧倒的。見逃すこともできたが、光司と淳樹は休日も一緒に遊ぶ仲だった。
チームのことを考えると、公私混同するわけにはいかなかった。練習後に皆を集め、メンバーを発表した。淳樹は何も言わなかった。光司からも気まずくて声をかけられなかった。
淳樹は「自分が投げるのが当たり前という感覚だった。外されたおかげで見つめ直すことができた」と振り返る。練習への姿勢だけでなく、あいさつなどの生活態度も変わった淳樹を再びエースに指名して、チームは青森大会を迎えた。
この日の試合、淳樹は五回に5点を奪われて降板。1―13、六回コールド負けでチームは敗れた。
それでも試合後、「自分たちで決めたメンバーで挑めたので悔いはない。後輩たちにもこの伝統を引き継いでほしい」と、光司は涙を見せなかった。(仲川明里)