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百回目の夏を迎える百夏 親が願った「元気に育って」

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2018年7月8日16時52分

 今年で100回を迎える全国高校野球選手権記念大会(日本高野連、朝日新聞社主催)。「100回目の夏」にかける思いが強いのは、全国の高校球児だけではない。黒石(青森)のマネジャーで「百」と「夏」の字を名に持つ堅田百夏(ももか)さん(2年)も、その1人だ。

 野球経験者の父一也さん(45)と、高校時代は野球部のマネジャーだった母秋子さん(45)の長女。生まれる前は流産の可能性があり、医者は何度も「無事に生まれるかわからない」と口にした。「百夏」の名には「100回夏を迎えられるぐらい長生きしてほしい」という願いが託されている。

 2人の弟は卓球とサッカー、妹はバドミントンをしているスポーツ一家。中学時代は吹奏楽部でトランペットを吹いていた百夏さんだが、高校では運動部に入部しようと決めていた。運動部は未経験だったから「マネジャーなら一からスタートできる」と、野球部に入部した。

 だが、スコアつけや用具の準備など仕事は多岐にわたり、想像以上のきつさだった。何をしていいかわからず、自主的に動けない自分に嫌気がさしたこともある。

 「部に何も貢献できてないし、辞めたほうがいいのかな」。帰宅して涙を流す百夏さんの姿に、「自分で決めたんだから最後までやり遂げなさい」と秋子さんが励ますこともあった。

■「運命を感じる」

 けれど夏の大会が近づいた今、百夏さんは少しずつ変わり始めている。

 6月の練習試合、先発投手の村元丈(じょう)君(2年)がマウンドで右脇腹を押さえているのに気づいた。

 「痛いの我慢してるんじゃないの」。ベンチで声をかけ、氷袋をつくって治療した。周囲に気を配れるようになった百夏さんに、「気づいてくれると思わなかったから、びっくりした」と村元君は言う。

 めったにない休日、大好きなアーティストのライブ会場にいても、「皆ちゃんと練習できてるかな」。いつのまにか、チームのことを気にかけている自分がいる。

 秋子さんは、かつての自分と同じマネジャーとして夏を迎えようとしている娘を、「たとえうまくできなくても、最後まで明るくがんばってほしい」と見守る。

 黒石は強豪校ではない。昨年の青森大会は2回戦敗退。でも夏を迎えたチームを包む高揚感は、どんな学校も変わらない。

 まして今大会は「100回目の夏」。「運命を感じる」と、百夏さんは目を輝かせた。(仲川明里)