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新潟)野球人口をふやすために

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2018年7月6日03時00分

 「高い球は振らなくていいよ」「走って 走って」

 6月30日、見附市の今町小学校のグラウンドに、元気な声が響いた。青空の下、汗だくで練習をしているのは「今町ふたば野球スポーツ少年団」の子どもたち。全日本学童軟式野球大会県予選会で初優勝を飾ったばかりで、8月の全国大会での躍進を目指している。

 主将の名古屋飛来君(6年)は、野球好きの父親の影響で、小1から野球を始めた。「1本のヒット、一つの守備で流れが変わることもある。面白い」。このまま野球を続けて、甲子園に出場することが目標だ。将来の夢を聞くと、「プロ野球選手」ときっぱり答えた。

 少年団は強豪だが、子どもたちの野球の楽しみ方は様々だ。「キャッチボールがしたくて入った」という大竹蓮司君(5年)の楽しみの一つは、練習後の昼食。土曜日のこの日も、拳大のおにぎりとから揚げが入ったお弁当をおいしそうに平らげた。思いきり体を動かした後に仲間と一緒に食べるご飯は「格別です」と笑った。

 女子も2人いた。小林颯華さん(5年)は「男子と一緒にやるのは、私にとっては当たり前。中学や高校にも、女子野球部があればいいのに……」。

 2005年から少年団で指導している元高校球児の菅沼健一さん(62)によると、かつては4年生以上で30人を超えるメンバーがいたが、現在は2~6年生の27人。野球に限らず「スポーツ離れ」を実感しているという。「最近は家でゲームをして遊ぶ子が多いという印象。外で遊べる場所が減っていることも大きい」

 少年団では、見学にきたら、ティーバッティングでヒットを打つ爽快感を味わってもらう。その後、軟らかいゴムボールでキャッチボール。「新入りは球拾い、ではダメ」。菅沼さんの時代と違い、楽しむことを重視する。幼い頃に野球を始めても、途中でやめてしまう子が多いからだ。

 県高野連によると、高校進学時にその傾向が顕著になる。17年度に県内で野球をしていた中3は1279人で、18年度の高1は738人に減った。県高野連加盟校は1999年度の108校をピークに、今年度は89校。県高野連の富樫信浩会長(57)は「小中高と進むにつれ、野球を続ける子どもが減っていく。少子化でパイそのものが増えない中、いかに野球を続けてもらうかが重要」と話す。

 過去の高校野球で多く見られたスパルタ式指導や長時間練習は通用しない時代になった。いまは、女子も含めて野球を楽しめる環境が求められている。

 富樫会長は県青少年野球団体協議会会長でもある。協議会は「新潟メソッド」を作成し、16年から指導者や選手、保護者向けに配布。「始めよう! 楽しもう! 続けよう!」を前面に出し、チームプレーの大切さ、けがの予防、効果的な練習方法などをまとめている。60ページの冊子には、子どもたちが生涯にわたって野球を続けられるように、との願いが込められている。 富樫会長は言う。「メジャーなスポーツほど技術的なハードルが高く、『高校から始める』という子は少ない。初心者限定の大会や、勝ち負けにこだわらず野球を楽しむ部活動があってもいい」

 競技性だけでなく、野球の原点の「楽しさ」を見つめ直す。全国高校野球選手権が100回を迎える今年は、新たな歴史のスタートでもある。(武田啓亮)