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「サラダ記念日」の年、多忙でも甲子園へ 俵万智さん

2018年5月28日16時26分

 青春や恋愛をテーマに短歌を詠み続けてきた歌人の俵万智さん(55)。高校野球と甲子園もまた、俵さんにとって身近に存在していたという。

     ◇

 子どもの頃、野球はスポーツの中で一番の花形。小学生のとき、応援していた少年野球チームの監督に連れられて初めて甲子園で観戦しました。高校野球は、球児たちのひたむきさに心を打たれます。今年は100回大会だと聞いて驚きました。今なお甲子園が、野球を志す人たちの憧れの舞台であり続けているのはすごいことです。

 〈「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」。俵万智さん(55)の歌集「サラダ記念日」が刊行されたのは1987(昭和62)年5月。当時、神奈川県立橋本高校で国語の教員を務めていた。〉

 教え子の応援に行ったことを覚えています。グラウンドにいる生徒たちは、頼もしく見えました。「サラダ記念日」を出した年の夏、甲子園で開会式と試合を見ました。とても忙しかったけど、それでも見に行ったのは高校野球がすごく好きだったから。

 お土産に甲子園のツタをいただいた。校長と相談して、校内にツタを植えたんです。野球部の子が見たら励みになるかな、って。私だけ甲子園に行って申し訳ないような気もしていた。最近、ツイッターであのツタが校舎の壁を覆っていることを知りました。

 〈早稲田大時代は神宮球場で大学野球の場内アナウンスを担当した。〉

 スター選手がいると、甲子園は盛り上がりますよね。早稲田実(当時は東東京)の荒木大輔投手(54)は格好良くて、野球という枠を超えて大人気だった。神宮でアナウンスしていた私も「荒木、大学に来てー」と熱望していました。

 横浜(東神奈川)の松坂大輔投手(37)が出てきた時は、大輔という名前の子が多くて荒木さんが活躍した頃に生まれた子なんだ、親たちは思わず名付けたんだなと。高校野球は日本の色々な場面のヒストリーに関わっている特別なスポーツだと思います。

 甲子園のヒーローと言えば星稜(石川)の松井秀喜選手(43)です。明徳義塾(高知)戦で5打席敬遠された時の、ふてくされない感じがすてきだった。もちろん、その後の活躍も素晴らしい。あの敬遠は「スポーツと美学」という点で考えさせられた。勝つことを目指す場合、敬遠は作戦として責められないけど美学としてはどうなのか、普遍的なこととして印象に残っています。

 ここ数年、気になるのは大量得点の試合が多いこと。精神的な弱さが出ているからなのか、昔の球児との違いは何なのか考えさせられます。

 〈宮崎県日向市で開催の「牧水(ぼくすい)・短歌甲子園」で審査員を務める。その縁もあって2016年に宮崎へ移り住んだ。〉

 高校生の全国大会を端的に示すのが「甲子園」と浸透しているのは、一つの文化だと思います。単なる球場の名前ではないのです。吹奏楽や応援とか別の活動をしている高校生にも影響が大きく、元気を与えてくれる舞台です。私は出場校の校歌の作詞者が気になります。私も1校だけ、塩釜(宮城)の作詞をしましたので。

 初めて甲子園に行った夏や、応援する学校の勝ち進み具合で友達との約束を決めていた高校時代とか、監督が自分より年下だと気付いて驚いたときとか、私にとって高校野球は、色々な節目に一つの目盛りとして存在しています。

 社会が多様化して野球一辺倒ではなくなってきた。あらゆる世代が一つの流行を追うというのは少なくなっている。がむしゃらになって目標に向かって何かをするという経験が少ないなか、憧れの舞台があるというのは大事だと思います。また、時代に合わせて、ルールを変えるとか工夫をして、「子どもたちファースト」であってほしいですね。(聞き手・辻健治)

     ◇

 たわら・まち 1962年大阪府門真市生まれ。早大在学中から短歌を始め、87年の「サラダ記念日」(河出書房新社)で現代歌人協会賞。単行本と文庫あわせて280万部のベストセラーに。短歌のほか、小説やエッセーなど幅広い執筆活動を続ける。子育ての日々を詠んだ「プーさんの鼻」で2006年若山牧水賞。11年から暮らした沖縄県の石垣島を離れ、16年から宮崎県在住。

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