メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

(葦)「夏はうちやで」71歳の負けん気 安藤嘉浩

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • メール

2018年4月6日15時11分

 準々決勝11―10、準決勝12―10。終盤の猛攻撃を見ながら、闘将の18年前を思い出していた。第90回記念選抜高校野球大会(4日閉幕)で立て続けに逆転劇を演じた智弁和歌山の高嶋仁(ひとし)監督(71)だ。

 試合後は「もうアカンかなと思うた」と言った。そんなはずはない。教え子でもある古宮克人・野球部長(29)は「一番あきらめてないのが高嶋先生」と笑う。

 1997年夏の甲子園を初制覇した頃から取材してきた。「勝負事は勝たなアカン」が口癖だ。18年前の2000年は春の決勝で東海大相模(神奈川)に敗れ、夏の決勝で東海大浦安(千葉)を下した。「ユニホームを見たら同じ東海でしょ。絶対に負けられんと思うた」。八回に打線が爆発するチームだった。

 97年夏の主将だった中谷仁(じん)さん(38)をコーチに迎え、古宮部長と3人で強い智弁を再建してきた。ただ、決勝は大阪桐蔭に敗れた。「クソーッと思うた」と言った後、「夏はうちやで」と笑った。

 5月30日で72歳になる。ベンチ前で仁王立ちする変わらぬ姿に、こちらの背筋も伸びた。元気と勇気をもらった中高年は、ぼくだけでないだろう。

(編集委員)