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東京)野球離れ「429人減」に危機感 高校野球

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2018年3月13日03時00分

 「野球離れ、これを何とかしなければ非常にさみしい高校野球になってしまいます」

 2月25日、都高校野球連盟の堀内正会長は、春季都大会の抽選会でのあいさつで語りかけた。青山学院高等部PS講堂に集まった約千人の部員らは、真剣な表情で話を聞いていた。

 2017年度の都高野連の硬式野球部員数は1万741人。前年度比で429人減った。07年度以降、部員数は1万1千人前後で増減を繰り返し、14年度に1万1267人とピークを迎えた。年度によって百人程度の減少はあったが、17年度の減少幅は千葉県(474人)、神奈川県(451人)に続いて全国3番目の大きさだった。

 都高野連の武井克時専務理事は、「出生数など様々な観点で考えなければならないが、部員は大きく減った。このままでは1万人を割る可能性もあるのではないか」と話す。

 昨夏の全国選手権西東京大会決勝は、試合開始2時間前に入場券が完売。神宮球場には約3万人の観衆が詰めかけた。都内の高校野球人気は根強いように見えるが、関係者たちの危機感は強い。ある都立高の監督は、「中学で野球をしなかった生徒が、高校で野球部に入る可能性は低い。中学で野球を続けてもらえるように、部活動などで指導者に頑張ってもらうしかない」と話す。

 では、高校野球に人材を送り込む都内の中学野球の現状はどうなのか。

 調布市を拠点とする硬式野球の調布リトルシニア。半世紀近い歴史を持ち、過去には荒木大輔氏(日本ハム2軍監督)や清宮幸太郎選手(日本ハム)も在籍した。安羅岡一樹監督(55)によると、選手は現在は1学年40人。体験入部には100人を超す子どもが訪れ、近年では選手不足に陥ることはないという。

 練習は週3回。指導は野球の技術だけでなく、礼儀の徹底など生活面にも及ぶ。コーチ時代を含め、指導に携わって約15年の安羅岡監督は、「ある程度の厳しさが保護者からも求められている。子どもの気質の変化に応じて指導法を変えなくてはいけないし、変えてはいけない部分もある」。

 甲子園を目指す強豪校から複数の誘いがかかる選手がいる一方で、出場機会を優先させて進学先を変えさせる例もあるという。安羅岡監督は、「野球はやっぱり試合に出るのが一番楽しい。自分もそうだったが『真の友達づくり』をするために、高校でも野球をきちんと続けてほしいから」と言う。

 軟式野球の現状はどうか。

 青梅市立新町中学校の教諭、小沼和徳さん(57)は、都中学校体育連盟で野球部長を務める。だが、新町中にはいま、野球部員がいない。2年生3人がいたものの、1年生が入らなかったため部を去った。指導歴30年超の小沼さんは、「部員ゼロは初めて。野球を教えられないのは寂しい」。

 都中体連の野球部員数は、10年度の1万7945人をピークに減少傾向が続き、17年は1万1076人となった。小沼さんは「今の保護者は、子どもの頃にJリーグやワールドカップなどサッカーを見ていた世代が多い。親の影響で取り組むスポーツを選ぶのではないか」と話す。

 最近では野球道具の価格の高さを指摘する声も多く、新年度から新しい規格の軟式球が導入される影響も考えられるという。「部活動の軟式野球には『安くて楽しめる』という魅力がある。その魅力を伝えるため、小学校や高校との連携を進めていかなければならない」と小沼さん。

 都高野連も今後、子どもたちに野球を普及させる活動に乗り出す方針だ。堀内会長は、春季都大会抽選会のあいさつをこう締めくくった。

 「30年、40年先、球児が減っていくのを食い止められるのは皆さんたちです」(辻健治)