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学校休んで1カ月「俺、こんなに野球やりたかったんだ」

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 ■夏に笑おう

 部員8人の長沼(福島県須賀川市)。初戦敗退が3年続く福島大会には、ほかの部からの「助っ人」を加えて参加する。

 それでもグラウンドには大きな声が飛び交っている。「そんなんで勝てると思ってんのか。ふざけてんのかよ」

 盛り上げ役は、副主将の村上龍(りょう)(3年)だ。たとえ嫌われても、必要なことは言う。昨夏、1カ月学校を休んだ村上が、復帰後に心掛けていることだ。

 マネジャーとして入部した村上だったが、部員不足で1年生の秋から選手になった。ところが、いざユニホームを着ると、空振りや暴投ばかり。負けず嫌いな村上は「下手な自分が許せなかった」。

 バットの握り、タイミングの取り方。授業の合間に主将で同級生の真弓剛の席へ行き、質問攻めにした。

 徐々に形になってきた2年生の7月。福島大会を目前に、村上は突然、学校に行くのをやめた。

 学校で服装や態度を何度も注意され、ほとほと嫌気がさしたからだ。

 新しく買った「ワンピース」のゲームは1週間でクリアした。朝から晩までアニメを見て、1日でシリーズ全話を見終えた。

 「最初は楽しかったけど、だんだん、むなしいというか悲しくなった」

 学校に来るよう説得しにきた監督の影山高見(47)から、福島大会は初戦で負けたと聞いた。

 「俺が出ていたらどうなっただろう」「みんなは悔しがっているのかな」

 家にいても、野球のことばかり考えるようになった。「俺ってこんなに野球がやりたかったんだな」

 学校を休んで1カ月。思い直し、戻ると決めた。何よりも練習に出たかった。

 「オッス、おう、久しぶりだな。生きてたのか」。村上の不安をよそに、部員たちは何事もなかったかのように受け入れてくれた。

 久しぶりに参加した練習で、村上はあることに気付いた。

 相手を褒めたり、励ましたりする声は出るものの、ミスを指摘する選手がいない。緊張感に欠け、同じ失敗を繰り返していた。

 「勝ちたいなら、ミスを直さないと。それには注意する人がいないとだめだ」。チームに迷惑をかけた分、自分がその役割を果たそうと決めた。

 そんな姿は周りにも影響を与えている。静かだったグラウンドが変わった。

 福島大会の初戦は第3シードのいわき光洋。村上にとっては、選手として最初で最後の大会だ。「チームは前よりも守りのミスが減ったと思う。悔いのない試合をしたい」=敬称略

 ■部員が減って困ったことは?

・実戦形式の練習ができない。前よりも頭の中で想定した練習が多くなった(ザベリオ・薄宏太監督)

・チーム内の競争意識が薄くなった(安積黎明・鈴木雅彦監督)

・部費が減少し、用具購入に充てる余裕がなくなった(喜多方・栗城一郎監督)

・助っ人を集めての参加になるため、道具を用意するのに苦労します(相馬農・大森友浩監督)