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全国制覇の先輩鍛えた「砂場」 追いかけて走る投手たち

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2017年6月20日10時42分

【動画】月刊高校野球の企画「しまっていこー」=小俣勇貴撮影

 ■しまっていこー 広島商

 広島商グラウンドの一塁側ベンチ裏には、「砂場」がある。幅1メートル強、長さはおよそ40メートル。公園にある遊び場より、細長い。素足で走って下半身を鍛える場所だったが、近年は積極的に使われていなかった。

 6月中旬、その「砂場」を2人の2年生投手が黙々と走り込んでいた。川崎健司と安長春樹。ダッシュを往復20本こなし、汗だくに。足裏は真っ黒。川崎は「きついっす。普通に走るより、ふくらはぎにきてます。僕は足が遅いんで鍛えるには結構いいです」と笑顔で話した。

 使われ出したのは5月初め。3年生投手が自主的に走り込みを始めたことがきっかけだった。若松茂樹監督が「砂は軟らかいから関節への負担が少ないし、いいトレーニングになる」と推奨し、ほぼ毎日、誰かしらが走るようになった。

 この「砂場」は、1972年秋にできたという。当時の迫田穆成(よしあき)監督(現・如水館監督)が合気道からヒントを得て、足の裏の感覚を磨くために素足で走る練習を採り入れた。その一環として造られ、翌年の夏、チームは全国制覇を成し遂げた。

 そんな経緯を川崎と安長春は知らなかったが、「ここを走るようになって、下半身に粘りがでてきた」と口をそろえる。2人は夏のベンチ入りメンバーの選考に残れなかった。安長春は、「選考に残った1年生もいる。悔しいけど、いつ呼ばれてもいいように心と体、準備してます」。全国区で戦った先輩たちが鍛えてきた「砂場」で、いまはひたすら自分を磨く。(小俣勇貴)