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広島商伝統の1年生指導「おまえらが手本見せるんじゃ」

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2017年4月11日19時27分

 ■しまっていこー 広島商

 「おまえらが手本を見せるんじゃ」。1年前、先輩から何度も聞かされ、広島商の伝統を感じたせりふだ。今度は伝える番になった。

 4日、練習試合をしているグラウンドの左翼後方。セミナーハウス「藻潮館」の2階から、「はいっ!」という絶叫が何度も響く。入部を希望する53人の新入生たちの声だ。

 2年生の2人が、校歌をうたう彼らを鋭い目つきで見回る。指導係に任命された内野手の大見遼と外野手の高谷健太郎だ。

 校歌の練習が一区切りすると、今度は学校での振る舞いや私生活について話を始めた。「野球部員である前に広商生たれ」。この言葉の意味から始まり、授業態度や身だしなみでの注意点を説明。野球だけできればいいという考えは、一切許されないことを伝えた。

 大見が念を押す。「広商は精神野球を大事にしとる。脈々と受け継がれてきたということを、よう考えて行動せえよ」

 2人が指導係を任されたのは、3月下旬。「1年生への指導は伝統があり、誰でもできる仕事ではない」と大見が言えば、高谷は「最初の土台となる大事な時期を託されたので、しっかり伝えていきたい」と気を引き締める。

 指導係は名誉ある仕事だが、夏までは練習よりも1年生の面倒を優先させないといけない。「朝の練習は自由なので、できるだけ早く来て素振りをしています」と大見。高谷は、「自分たち2人しか学べないことがあるはず。それを野球に生かしたい」と話す。

 指導において、2人が気を付けていることがある。理由付けだ。大声で校歌を歌うのは、試合で歓声に負けない声を出すための訓練。グラウンド内のダッシュの徹底は、プレーでもすばやく反応できるようにするため。理不尽に押しつけることはしない。

 高谷が言う。「伝え方は難しい。グラウンドで手本を見せるしかない」。先輩の背中から、そう教わった。あれから、1年。2年生になり、伝統のつなぎ方を学ぶ春だ。(小俣勇貴)