朝日新聞デジタル

ここから本文エリア

2013年6月13日17時52分
このエントリーをはてなブックマークに追加

〈鳥球1:上〉鳥取 志高く 目標は日本一

写真:角盈男さん=東京都内拡大角盈男さん=東京都内

■鳥取野球への提言:上 角盈男さん

 甲子園で県勢がふるわない。何が課題で、どんな対策が必要か。県ゆかりの野球関係者3人に、それぞれの経験をもとに鳥取の高校野球への意見を聞いた。

■君たちには可能性がいっぱい

 ――高校時代の3年間はいかがでしたか

 1年の時に先輩たちが甲子園に出たが、ベンチに入っていない。2年の時は4番でライト。鳥取大会決勝で負けた。確か、サヨナラ。でもよく覚えていない。3年の時に投手。初戦で負けた。甲子園に行けず、野球でいい思い出はない。

 ――日々の練習は

 その日その日が一生懸命。上下関係の厳しい縦社会だったから、言われるがまま。練習をこなすことで精いっぱいだった。それでも、甲子園に行くんだ、と自宅から学校まで10キロ走るのを日課にし、必死にトレーニングした。でも、いま振り返れば、甲子園出場を目標にしていたから、だめだったのだと思う。

 ――それはどういうことですか?

 目標が低いということ。プロの世界では、まず目標に置くのは日本一。そこに基準を置いて練習に取り組む。最初からAクラスに入ってクライマックスシリーズに、などという考えではだめ。高校生なら、自分たちは全国優勝を目指すんだというくらいの意識を持つこと。そうすれば、おのずと目的を持って練習に取り組める。

 ――県勢は甲子園で低迷が続いています

 田舎は確かに情報量が少ない。大学、社会人に進んだOBも都会の方がたくさんいる。そういう意味で指導者も勉強する機会が少ないと思う。でも、監督は子どもたちからすれば、絶対的な存在。その人たちがもっと大きな夢を持ってくれなくては。甲子園に出るためにどうするかではなく、甲子園で勝つためには何をしなくてはならないか。

 ――高い目標を持つとは

 私はプロに入って、日々何をすべきかを学んだ。上手投げだった投球フォームをサイドハンドに固めたキャンプでは、毎日500球、600球投げ込んだ。イメージ通り、これだと思えるようになるまで。選手はみな目標を持って練習に取り組んでいる。

 ――県民性も関係ありますか

 鳥取の県民性は謙虚で、引くところがある。でも、日本一になるんだという気持ちを持ってほしい。参加校が少ないといっても、甲子園に出られるのは1校だけだ。25分の1の代表になることは大変なこと。考え方の持ち様だ。もっと自信を持てと言いたい。

 ――全体的に鳥取の選手は小柄なようですが

 バレーやバスケットといった高さを求められる競技ではない。私が最も苦手だった打者はヤクルトの若松勉選手だったが、身長は168センチ。それでも首位打者をとった方だ。野球は9人でするもの。体格など気にすることはない。

 ――現役球児へのメッセージを

 まだ、君たちは16〜18歳。可能性はいっぱいある。何でもやれるし、失敗したっていい。それが経験になる。苦しかったこと、楽しかったこと。同じ思いをしたチームメートと共有したことは何事にも代えられない。さらに上を目指して頑張ってほしい。

     ◇

 〈すみ・みつお〉 米子工出身。三菱重工三原を経て、ドラフト3位で、1977年に巨人入団。抑えのエースとして活躍し、81年に最優秀救援投手に。日本ハム(89〜91年)、ヤクルト(92年)時代を含めたプロ通算成績は38勝60敗99セーブ。左投げ左打ち。ヤクルト、巨人で投手コーチ。現、野球評論家。56歳。

     ◇

 この連載の担当は、佐々木宏。1982年入社。和歌山、石川、奈良などを経て、本社ではスポーツ部記者として主に大相撲、柔道、高校野球を担当。高校野球総合センター事務局長として、第91〜第93回全国選手権の大会運営に専従。昨年4月から米子支局長。鳥取県出身。

■第95回高校野球選手権記念鳥取大会 新企画がスタート

 球児たちの熱い夏が今年もやってくる。1915年8月、鳥取中(現在の鳥取西高)の鹿田一郎投手が開幕試合で第1球を投げ込み始まった全国高校野球選手権(当時・全国中等学校優勝野球大会)は今年、95回の記念大会を迎える。鳥取大会開幕まで、あと1カ月あまり。鳥取総局では8人の取材記者全員がそれぞれ、「高校野球」をテーマにした連載記事に取り組みます。さまざまな視点から鳥取の「野球魂」を伝える、題して「鳥球(とりたま)」。ぜひ、お読みください。

検索フォーム