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第93回全国高校野球選手権大会

地方ニュース

〈福島:心は一つ 相双連合の挑戦(5)〉先見えぬ中で支える輪

2011年7月9日11時39分

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写真:相双連合として初の練習試合の前、監督の話を聞く選手たち=小野町拡大相双連合として初の練習試合の前、監督の話を聞く選手たち=小野町

 練習開始まで1時間の午前8時ごろから、1台また1台と車が到着し、ユニホーム姿の選手たちが降りてくる。中には移動に2時間以上かかる選手も。

 毎週、土曜か日曜のどちらか1回だけある相双連合チームの合同練習。浜通りから会津地方まで散らばる17人の選手と女子マネジャーは、保護者や指導者の車に揺られて練習場へと集まってくる。

 練習が始まると、保護者たちは近況報告に花を咲かせる。「そっちの避難所はどう?」「うちは仮設に移ったのよ」。移動距離が長いため、いったん帰宅することもできない。

 「でも、週1日が親たちにも楽しみなの。大変な毎日だけど、ここでお互いストレスを発散している」。母親の一人が笑った。

 双葉翔陽の野球部保護者会長の遠藤清輝さん(50)は川内村役場の職員。郡山市のアパートから1時間ほどかけて次男の遠藤剛司主将(3年)を連れてくる。シーズン最初の練習試合に向けて他の保護者と連絡をとろうとしていた時期に東日本大震災にあった。「まさかこんなことになるとはね。野球の練習や試合に行くのが日常だったのに」

 練習や試合の様子を、できるだけビデオで撮影してきた。連合チームになっても「チームの上達に役立てば」と続けている。「避難生活とか先が見えない中で選手は前を向いて走っている。試合や練習での一生懸命な姿を見ると、毎日の不安を忘れられるんです」

 資金難で迷ったものの、「子どもたちのがんばりにこたえたい」と応援Tシャツや帽子をそろえることにした。富岡、相馬農の保護者にも声をかけ、その準備に追われる。

 支援の輪は卒業生にも広がっている。2007年の双葉翔陽卒業生で、野球部のマネジャーだった遠藤瑛美(えい・み)さん(23)が中心となり、同校野球部OBに義援金を呼びかけると4日までに11万6千円が集まった。

 遠藤さんは相双連合の初練習をニュースで見て、自分の高校時代を思い出したという。「後輩たちはあきらめていない」。現在はいわき市に住み、震災後の生活に不安を抱えていた時、元気をもらったという。

 当時は気づかなかったことが、社会人になって分かり始めてきた。「宿泊費や移動費を出してもらって、自分たちがいかに充実したところで野球ができていたか。後輩たちの親御さんを支援したいと思って始めた活動ですが、自分たちの親孝行でもあるんです」

 福島大会を前に結成された「相双連合」。さまざまな人の支えを受け、14日の喜多方戦に臨む。

 (福宮智代が担当しました)

    *    *

 相双地区 県高校野球連盟の加盟校は10校。他校でのサテライト授業をしている7校のうち、双葉、浪江、原町、小高工は単独で参加する。双葉は優勝回数3回。昨年は小高工が準決勝に進出した。今大会は原町が第4シード。

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