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富山大会ニュース

懸命の1年「ごめん、ありがとう」 富山第一の高森主将

2010年07月29日

(高校野球 富山第一3―6砺波工) 3点差を追う9回、1死走者なし。富山第一の高森貴大主将(3年)は打席に入ると、一塁側ベンチに目を移し、その上のスタンドを見やった。

写真富山第一の高森主将=富山市民

 「つなげよう」

 部員が60人いるチームで試合に出られるのは、ごくわずか。みんなの「思い」を背負っていた。

 3球目をたたいた打球は遊ゴロ。ベンチに戻って祈る。「まだ、だ」

 勝ち上がりの原動力になったものの、準決勝の試合中に左親指の靱帯(じんたい)を切る大けがをした福島貴幸選手(3年)も打ちとられた。

 高森主将はベンチでひざから崩れ落ちた。

 思い返せば、主将として、苦労の1年だった。

 昨夏の4強入りメンバーが多く残った新チームは、「優勝も狙える」と言われたが、秋は3回戦、春は2回戦で敗れた。主将として、「どうすれば、強くなれるのか」と悩んだ。

 春の県大会後、チームで何度もミーティングを開き、遠慮なく意見をぶつけ合った。黒田学監督にも、きついことを言った。それでも、状態はよくならない。練習試合で勝てない日々が続いた。

 不安のなか迎えた最後の夏。ノーシードから、強豪を倒して勝ち上がり、日に日に雰囲気はよくなった。ようやく「チームワークが自慢」と胸を張れるようになった。

 勝てると信じた決勝。仲間とともに最後まで、戦い抜いた。「懸命に野球をやったから」、ベンチで、みんなが泣き崩れた。

 「高森がいたからここまで来られた」と言う、黒田監督の目にも涙があふれる。高森主将もしばらく、立ち上がれなかった。

 この1年、色んなことがあった。なのに、二つの言葉しか思い浮かばなかった。

 「ごめん、ありがとう」

 立ち上がると、真っ赤な目で仲間の肩を抱いた。(小峰健二)


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