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富山大会ニュース

延長勝ち越し打、粘投162球 南砺福野・上田航平投手

2010年07月22日

(高校野球 南砺福野4―3富山 延長11回)

写真最後の打者を打ち取り、笑顔をみせる南砺福野の上田航平投手=城光寺

 息詰まる延長戦を、昨年の覇者・南砺福野が制した。同点で迎えた11回、南砺福野は2死から安念、上田の連続長打で1点を挙げ、試合を決めた。富山は9回2死から2点差を追いつく粘り強さを発揮。長身のエース中野が完投、バックも無失策でもり立てたが、及ばなかった。

      ◇

 試合終了の瞬間、エースにガッツポーズはなかった。投打でグラウンドを駆け回った南砺福野の上田航平投手(3年)は、ひざに手をついたまま、しばらく動けなかった。

 序盤は静かな投手戦が続いた。上田投手がスライダーで連続三振を奪えば、相手投手も4回まで安打を許さない。

 5回、上田投手は、先頭で三塁打を放ち、次打者の犠飛で生還。投球も、徐々に調子が上がっていった。

 同点の9回、1点を勝ち越して、なお2死三塁で打席に入った。中越え二塁打を放ち、貴重な追加点。2点差をつけ、試合は決まったかにみえた。

 その裏、アクシデントが襲う。2死まで追い込むが、左足に痛みが走る。振り逃げ、さらに粘られての四球。次打者には甘い球を痛打され、土壇場で同点を許した。

 昨夏、初めて甲子園に出た南砺福野。当時からエースだった上田投手は、天理(奈良)打線に打ち込まれ、1―15で敗れた。線の細さを補おうと、冬場は体をいじめ抜き、体重は8キロ増えた。「今度こそ、甲子園で勝ちたい」。ここで、負けるわけにはいかなかった。

 11回、またも好機で打席が回ってきた。2死二塁、狙っていた変化球を振り抜くと、右翼へ高々と上がった。「捕るな。捕るな」。打球は右翼手のグラブをかすめて、落ちた。全速力で三塁へ滑り込み、拳を突き上げた。

 殊勲打の代償は大きかった。走塁で両足の太ももがつり、4分間試合が中断した。「あと1回だ。がんばれ」。中山訓良監督がマッサージし、マウンドへ送り出した。

 もはや、球は走らない。最速145キロの速球は見る影もなく、緩いカーブを織り交ぜて必死にかわす。162球目、最後の打者を二ゴロに打ち取った。

 駆け寄る仲間たちを振り返り、ようやく白い歯がのぞいた。(高野遼)


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