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佐賀大会ニュース

8強の夢、後輩に託す 佐賀学園の戦い振り返る

2010年08月19日

 佐賀学園の夏が終わった。安定した投手力と堅い守りで1、2回戦を勝ち上がり、17日の3回戦で報徳学園(兵庫)と対戦した。過去に2度、甲子園で3回戦の壁に跳ね返され、巨瀬博監督が「三度目の正直」と位置づけた一戦は5―13で敗れ、初の8強進出の夢は後輩に託された。甲子園での11日にわたる戦いの軌跡を振り返る。

写真試合を終え、ベンチ前に整列する佐賀学園の選手たち
写真決めた:旭川実―佐賀学園 2回裏佐賀学園1死一、三塁、峰下は適時内野安打となる二前スクイズを決める。投手鈴木
写真外された:長崎日大―佐賀学園 2回裏佐賀学園1死一、三塁、大谷はスクイズを外され、三塁走者がタッチアウトとなる。捕手山下
写真鼓舞した:守備陣に声をかける佐賀学園の貝原辰徳捕手=日刊スポーツ
写真支えた:佐賀学園の選手たちの活躍に盛り上がる三塁アルプス席の応援団=阪神甲子園球場
写真沸いた:佐賀学園の先制にわく一塁アルプス席の応援団=阪神甲子園球場

■力投エース峰下、躍進支える

 佐賀学園12年ぶりの3回戦進出の原動力となったのが、エース峰下智弘(3年)。

 巨瀬監督が掲げる「投手中心の守りの野球」を象徴する峰下は、今夏の佐賀大会から甲子園の2回戦まで、全7試合を一人で投げ抜いた。巨瀬監督も全幅の信頼を置き、甲子園期間中の調整は、ほぼすべて本人に任せた。

 甲子園の初戦・旭川実(北北海道)戦は、雨で試合開始が2時間以上遅れ、ナイターとなった。だが、気持ちを切らさず、走者を背負っても自己最速142キロを記録した直球を軸に要所を締めた。峰下の投球で光ったのが、2回戦の長崎日大戦で効果を発揮した決め球のチェンジアップ。打線の半数を超える左打者に対し、外角へ逃げる変化で、三振や凡打に打ちとった。

 「裏方で支えてくれる3年生のためにも勝ちたい」と甲子園で話していた峰下。3回戦の報徳学園戦で、初めてマウンドを降りたが、主将という重責を担いながら、強気の投球でチームを引っ張った。 一方で、3回戦では峰下の降板後に大量失点をするなど、2番手以降の投手陣に課題を残した。甲子園でさらに上を目指すためには、控え投手の育成と強化が必要だ。

■つなぐ打線・堅守、甲子園沸かせる

 単打でつなぐ打線の集中力と好守も甲子園を沸かせた。

 チームを勢いづけたのが、1回戦で見せた、鮮やかな先制攻撃だった。中前安打で出塁した柴崎貴也(3年)を、双子の弟の翔也(3年)が右前安打でかえし初回に先制。2回も、北村剛輝(3年)と柴崎貴の1、2番コンビの連打やバントヒットで2点を奪い、一気にたたみ掛けた。

 長崎日大戦でチームの窮地を救ったのが、堅い守り。1点差で迎えた9回2死三塁。抜ければ同点の三遊間のゴロを遊撃手・柴崎翔が体勢を崩しながら捕球し、一塁への好送球でアウトにした。打者の中には、長崎日大のエース中村を佐賀大会で対戦した投手に見立てて攻略法を練った選手もいた。

 持ち味の堅守に加え、大阪入り後の練習で、約8割を費やした打撃練習の成果が発揮された。3回戦の報徳学園(兵庫)戦でも、6点を追う終盤の8回に連打などで3点を返す意地を見せた。

■精神力に課題 次への糧

 3度目の挑戦でも越えられなかった8強進出の壁。3回戦後のインタビューで、巨瀬監督は「選手の心が疲れていた」という言葉を残した。

 3回戦の報徳学園(兵庫)戦では、佐賀大会から1試合最大で2点しか奪われなかったエース峰下が打ち込まれ、6回までに6点を失った。主将を担う峰下は「気持ちを切らさないで、あきらめないぞ」と声をかけ続けたが、緊張の糸が切れたかのように自慢の守りに失策が重なった。

 初めて甲子園を経験する選手たちには、長期間の宿舎での慣れない生活に「疲れた」という声もあった。巨瀬監督は「気分転換も必要」と選手に朝の散歩を課し、試合前日には温泉にも連れて行った。

 甲子園でベンチ入りした2年生4人は「またここに来ます」と宿舎を後にした。その引き締まった表情は、すでに来年を見据えていた。

 8強の壁を乗り越えるために必要なのは、「勝ちたい」という気持ちをいかに最後まで切らさないかだ。この夏に学んだ、試合と宿舎での気持ちの切り替え方や最後までバテない精神力を新チームの糧にしてほしい。(甲斐弘史)


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