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松本工、もぎ取った執念の1点 初勝利の夢、後輩に

2010年08月08日

 初勝利の壁は厚かった。第92回全国高校野球選手権大会に出場した松本工は7日、開幕試合で九州学院(熊本)と対戦、1―14で敗れた。エース柿田の立ち上がりを攻められ、序盤に大量失点。持ち味の粘り強い野球は発揮できなかった。1勝の夢は後輩に託すことになった。

写真3回表、伝令としてマウンドに行き、声をかける松下慎太主将(中央)=飯塚晋一撮影
写真九州学院―松本工 6回裏松本工1死二、三塁、大熊の二塁ゴロの間に三塁走者佐野が生還、ベンチで迎えられる=竹花徹朗撮影

 松本工は、序盤の大量失点が最後まで響き、リズムをつかめなかった。

 1回、エース柿田の制球が力みから甘くなり、九州学院打線に狙われた。1死からの4連打で3点を先制された。4回までに計14安打を打たれて12失点。6回以降は、2番手の佐々木が2失点に抑える力投を見せた。

 攻撃では、九州学院のエース渡辺の内外角に散らす投球にはまり、ねらい球を絞り切れなかった。

    ◇

■途中出場で好守、控えの松下主将「精一杯やった」

 「思い切りやってこい」。8回表、松下慎太主将は中村定史監督から声をかけられると、ベンチから一塁の守りに飛び出した。

 背番号10。控えの選手ながら、主将としていつもチームの先頭に立ち続けてきた。試合で勝てない時期、本を参考にして自らトレーニングメニューを組んだ。2年の冬、通常の練習以外に毎日10キロ、仲間を率いて薄川のランニングコースを走った。

 守備位置を転々とし、なかなか正選手になれない。自分にふがいなさを感じることもあった。春の大会は背番号3を付けたが、先発は他の選手。「なにやってんだろう」。悩みながらも、常に円陣の真ん中でチームを鼓舞し続け、粘り強い野球でチームを甲子園に導いた。「自分がやってきたことは間違っていなかった」と思えるようになった。

 この日も、役割を果たした。8回の守備に入った1死後、右前に抜けるかという打球が襲うと、飛び込んで好捕した。守備からリズムを作り、攻撃につなげる。大黒柱の柿田が崩れ、思うようにプレーできない仲間たち。それでも、「自分たちの野球」を示そうと、必死のプレーだった。

 試合後、うなだれる仲間たちの前で、自分自身に納得させるように言った。「みんな精いっぱいやった。こうすればよかった、と思うこともない」。最後まで主将であり続けた。(野津彩子)

    ◇

■「あきらめない野球」胸張る大熊捕手

 12点リードされた5回表2死一塁。捕手の大熊慎也はマスク越しに、九州学院の一塁走者がスタートを切ったのを見逃さなかった。直前に牽制(けんせい)している。だから、出だしは遅れている。遊撃手のグラブめがけた送球で、追加点の芽を摘んだ。この試合、初の無失点で切り抜けた。「以降を0点で抑えれば、まだいけるんじゃないか。守備からリズムを作れたと思う」

 続く6回も0点に抑えた。その裏の攻撃、1死二、三塁の好機に打席に立った。「点差はあったが、1点1点取っていこうと思っていた」。2球目の直球。「とらえた感じはあった」。結果は二塁ゴロだったが、この間に三塁走者が生還した。この試合唯一、そして何より松本工が甲子園で初めてもぎ取った1点だった。

 「たかが1点。それでも自分たちのあきらめない野球で1点を取れた」と大熊は胸を張る。

 今大会の登録メンバーではただ1人の2年生。「3年生の本当に一生懸命なプレーを見ることができた。良い投手の球も受けられた。次も、あきらめないチームを目指したい」(真海喬生)


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