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原動力は「友を喜ばす力」 九州学院の戦い振り返る

2010年08月21日

 夏の甲子園で、県勢としては14年ぶり、チームとしては47年ぶりに8強入りを果たした九州学院。熊本大会からずっと取材を続けてきた記者が、その活躍を振り返る。

写真試合を終え一礼してグラウンドを去る選手たち=水野義則撮影

 開幕試合では、松本工(長野)相手に全員安打全員得点で快勝。2回戦は山形中央相手に7点を奪い、エース渡辺政孝(3年)も完封した。3回戦の鹿児島実戦では、9回に相手に流れを持って行かれそうになりながらも一つずつ確実にアウトを取って踏ん張り、延長10回に下田勇斗(2年)の適時打で粘り勝った。

 各選手が個性を発揮しての好プレーも光った。一番打者の井翔平(3年)は初戦、初球から積極的に打ちに行くことでチームを勢いづけた。4試合で6盗塁を決めた山下翼(2年)は攻撃だけでなく、50メートル5秒81の足を使った好捕を見せた。松永蓮(3年)はモットーのがむしゃらさを貫き、常に一塁に全力で滑り込み、敵失を誘っていた。

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 チーム躍進の最大の要因は、その雰囲気だろう。「外から見てて、学年がわからないでしょう」と平井誠也部長が言うとおり、練習の合間や宿舎では、学年ごちゃ混ぜで歓談したり、1年生が3年生にツッコミを入れたり。本当に誰が上級生なのかわからない。試合で1年生の溝脇隼人や萩原英之がのびのびと躍動できたのも、そんな土壌があってのことだ。

 また関西滞在中の取材で日々感じていたのは、熊本にいた頃と変わらぬ自然体な姿。いつもとは違う生活環境で県代表の重圧もあるなか、宿舎の外で素振りをし、休憩時間にはテレビを見て過ごすなど、選手たちは良い意味で肩の力が抜けていた。

 練習を手伝ったり、宿舎で洗濯したり、道具を磨いたり、少しでもチームのためにと動いていた部員の存在が大きいことは言うまでもない。富高央崇(3年)ら選手からは「ベンチ外のみんなのおかげでやれている」という言葉を何度も聞いた。その度に、大会前から選手や坂井宏安監督が口にする「友喜力」という言葉を思い出した。「友(仲間)を喜ばそうとする力、それが自分たちの力になる」と。

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 準々決勝の東海大相模戦は、そんな一面がよく出ていた試合だった。序盤からじわじわと攻められ今までなかったような失策も出て、6回には3試合を完投してきた渡辺が負傷で降板。苦しい展開で悪い流れを断ち切ったのは、控えの選手たちだった。8回には途中出場の中村龍之介(3年)や代打の岩田尚樹(3年)らの活躍で、3点を返した。失点を重ねながらもマウンドで踏ん張る後輩たちに、渡辺はベンチから笑顔で声をかけ続けた。「友喜力」がにじみ出ていた。

 一つのプレーで、大観衆が大きくどよめく甲子園。その大舞台に立ち、またその選手を陰で支えるなかで、坂井監督がよく言っていた「自分なりのレギュラーポジション」を、みんなが見つけ、楽しんでいた。

 そして今大会ベンチ入り18人のうち8人が1、2年生という若いチーム。準々決勝で途中登板した大塚尚仁(1年)は「力を入れないフォーム固めをして、来年、絶対甲子園に戻ってくる」。坂井宏志朗(2年)は「この経験を生かして、(新チームを)引っ張っていきたい」と力強く話してくれた。

 9月からは秋の県大会が始まり、春の選抜出場をかけた九州大会も控えている。九州学院の奮闘が、他の県勢にもいい刺激になればうれしい。そして、九学のみんな、本当にお疲れ様でした。(塩入彩)


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