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〈はま風〉伝令、集大成の強振 九州学院・岩田尚樹外野手

2010年08月20日

 チームが苦しい時、ベンチの坂井監督から送り出される伝令だ。ピンチに見せる笑顔に含蓄がある。甲子園では全4試合の伝令を任された。この日は2度。8回1死一、二塁の場面では、笑って「開き直っていけ」と伝えた。親友の富高は「ひきつってた自分たちを、いつもあいつが楽にしてくれた」。

写真打席に立つ九州学院の岩田尚樹選手=水野義則撮影

 1年生の秋に右手中指を骨折。かばっているうちに送球時に不安がつきまとう「イップス」に陥った。「ガチガチで力が抜けなかった」。一塁手から、送球機会の少ない外野手に転向。誰より朝早く、夜も一番遅くまでと誓って練習した。グラウンド近くの木陰にいるお地蔵さんの前を自転車で通りかかるたび「もうけがをしませんように」と心の中で祈った。イップスは完全には治らなかったが、以後、大きなけがはしなかった。

 選手交代に伴って三塁コーチに立っていた8回、2死三塁で代打に出た。対左腕の代打が主な役割だったが、相手は右腕の一二三。仲間の「お前が一番やってきたんだぞ」という声が耳に届いた。2―2から持ち味のフルスイングをみせた。甲子園初打席で中前適時打。坂井監督を「耐えてきたあの子の3年間が集約されていた。得点より、あの子のヒットがうれしかった」と興奮させた。

 思いが詰まった一打。恥ずかしくて親友にも言えなかったお地蔵さんにも感謝している。熊本に戻ったら、こっそりお礼を言うつもりだ。(竹田竜世)


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