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香川大会ニュース

貫き通した「フルスイング」 英明、甲子園初勝利ならず

2010年08月08日

 夢の初舞台。甲子園の初勝利はかなわなかった。第92回全国高校野球選手権大会初日の7日、第3試合で英明は青森代表の八戸工大一と対戦し、4―8で惜しくも敗退した。好投を続けた主戦平井和貴が8回、得意のスライダーを痛打された。ただ、打線は4点を先行されてもすぐに追いつく粘りを見せた。選手たちは気後れせず、初球から力強くブンブンと振っていった。持ち前の「フルスイング」は観客を魅了した。

写真英明―八戸工大一 6回表英明2死一、二塁、西岡は中越えに同点となる2点三塁打を放つ=中里友紀撮影
写真打球の行方を見つめる英明の中内大登選手=長島一浩撮影

■豪快スイング、快音聞けず

 9回表2死二塁。

 4番中内大登が静かに打席に入った。気迫が体中から沸き上がる。相手投手に徹底してインコースを攻められた4球目、そのインコースをフルスイング。打球はアルプススタンドの最上段へ。大ファウルに観客席がどよめいた。

 その後の6球目。またもインコース。今度もフルスイングしたが惜しくも空を切った。ゲームセット。ヘルメットをはずし、天を仰いだ。

 中内は強打の英明打線の中心としてチームを甲子園に導いた。身長185センチの体を低く沈め、バットを持つグリップは胸より下。右足をすって踏み出し、ゴルフのスイングのように球をすくい上げる豪快なスイングが持ち味だ。

 小学校3年生でソフトボールを始めた。「ダイコン切り」のようなダウンスイングだった。野球にかえても変わらなかった。だが英明で野球部に入部後、香川智彦監督から命じられる。「ゴルフスイングを練習しろ」。最初はとてもとまどった。がらりと打法が変わるからだ。地面に置いた球をバットで打ったり、階段の一段下部分をバットでたたいたり……。そんな練習を重ねた。

 1年の冬、仲良しの西岡勇魚から「お前が本塁打を打った時のあのゴルフスイングはすごいぞ」と驚かれた。人一倍打ち込みをして身につけた。

 今夏の香川大会は絶好調だった。初戦で本塁打、3回戦ではサイクル安打を記録した。その後も大当たりし、決勝では3打席連続で敬遠された。大会打率5割7分1里、13打点をひっさげて甲子園にきた。

 初舞台のこの日、八戸工大一からは「気をつけたいバッター」と強く警戒された。初打席は初球を振り抜き右翼後方へ大きな当たりになったが向かい風に押し戻され、惜しくも捕られた。

 5打席で無安打、3三振。中内は試合後「自分がチャンスで打てれば勝てたのに……。最後の打席の直球は速く、伸びがあった。自分のレベルが足らなかった。『力を抜け、いつも通りに』と先輩からアドバイスされたのに力んでしまった」と大粒の涙を流した。

 そばにいた副主将の大嶋勇輝は「甲子園まで来られると思っていなかった。ここまで中内に連れてきてもらった。中内が打てなくて負けたんなら仕方がない」とつぶやいた。8回を投げきった平井和貴は「今日は自分がふんばらなければならなかった……。いつもチームがよく打ち助けられてきた」。夏が終わった。=敬称略(合田禄)


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