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広島大会ニュース

大声援、願い届かず 広陵応援席

2010年08月13日

 悲願の夏制覇へ――。生徒や保護者ら約6千人で埋まった広陵応援席。台風がもたらした曇天を吹き飛ばすような熱気に包まれていた。

写真6回表のチャンスに、スタンドからは「広陵行け!」と声援が飛んだ=中野寛撮影

 「甲子園練習の時、『日本一になってくれ』と選手に頼むと、皆『任せろ』と言ってくれた。そろそろ中井先生を夏の日本一の監督にしたい」。応援団長の谷颯馬(そうま)君(3年)は、表情を引き締めた。

 今春の選抜大会にも出場したが、広島大会直前にベンチを外れた御子柴(みこしば)大輝君(同)は「今まで自分がたくさん応援してもらった。その分も全力で応援したい」。

 試合は、エース有原航平君(同)の好投で、一歩も譲らぬ投手戦に。中盤まで、互いに好機をつくれない。直径1メートルの大太鼓を広島大会からたたく村重昂佑(こうすけ)君(同)は「相手にプレッシャーを与えてチャンスをつくりたい」。唇を結び、ズドーン、ズドーンと力強く打ち鳴らし続けた。

 迎えた6回。広陵は四球と単打で2死一、二塁とし、4番の丸子達也君(2年)。打球がセンター前に抜けると「回れ回れ!」と、応援席はメガホンを振り乱した。だが、二塁走者は惜しくも本塁でタッチアウトに。昨年の広陵のベンチ入り選手で、大学1年生の津川智(さとし)さん(18)は「今の攻撃は理想的。流れは来ている」と期待を込めた。

 だが7回、反対に2死二、三塁のピンチを迎える。応援席からは「頑張れ有原」の大合唱。不運な暴投で先取点を奪われた瞬間、応援の3年生たちはメガホンを地面から拾い上げ、「頑張れ有原!」と顔を真っ赤にして叫んだ。

 9回表、谷君が「絶対に点を取って、勝ちましょう」と応援席全体に向かって声を張り上げた。それまで座っていた生徒や保護者も総立ちになり、体を揺らして大声援を送る。だが願いは届かず、ゲームセット。谷君の手から、メガホンがぽとり。大粒の汗が噴き出した顔を、涙も滑り落ちた。「悔しいけど仕方ない。選手を温かく迎えてあげたい」とたたえた。

 有原君の父、範夫(のりお)さん(49)も「春からの成長をみせてもらった。ありがとう」。

 津川さんは「日本一になれなかったのは残念」と悔しそう。だが続けて、後輩たちに優しいエールを送った。

 「今日の負けは、今後の野球人生に生きるはず。皆、これからだよ」(中野寛、山本恭介)


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